研究課題/領域番号 |
17KK0030
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
迫 桂 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (60548262)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | ageing / illness / children's literature / picturebooks / British literature / Japanese literature |
研究実績の概要 |
研究者の基課題は、主にイギリス文学・文化作品の分析を通じて、老い、それと関連が強い認知症、広義の「病い」の文化的意味を明らかにし、その根底にある思想構造を見直すことを目的としている。この研究の加速発展のため、本課題では、二つの国際共同研究活動を行う(1.国際研究ネットワーク構築、2.日英児童絵本における老いや病の歴史比較研究)。この二つについて、今年度は下記のことを行った。 1.2019年9月に共同研究者と開催予定の国際シンポジウムの準備として、基調講演の手配、広報活動、研究発表の公募と選考を行った。3月に共同研究者及び運営補助者と面会、今後の業務を協議、確認した。さらに、研究セミナー('The Constraints of Age(ing)', 於ロンドン)に出席し、ヨーロッパ系文学の老い研究者と交流、シンポジウムの広報を行った。フランス研究者の発表参加が決まり、プログラムの多様化につながった。 2.準備段階として、資料収集と調査を行った。共同研究者とそれぞれ、二次資料の収集を進めた。一次資料については、下記の調査を行った。 ①国会国立図書館国際子ども図書館にて、児童文学だけでなく、児童向け絵本に特化したレファレンス資料を閲覧した。これは、研究対象となる一次資料を特定するのに非常に役に立った。また、何点かの一次資料を調査することもできた。 ②ハダースフィールド大学資料室で、共同研究者と児童文学の新刊を紹介する雑誌のバックナンバーを閲覧した。当時の児童文学出版の文化状況を垣間見、主要な児童文学賞やシリーズ、出版社もいくつか特定できた。これらの資料調査により、1950年代と1960年代には本課題の対象となりうる一次資料(老いや病についての児童絵本)の出版数が極めて少数であることが確認された。この要因として、児童文学出版の在り方、人口・家族構成の違いが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年9月に開催予定のシンポジウムの準備は予定通り進んでいる。シンポジウムをもとにした論文集の出版を計画しており、この企画に関心を示した出版社と連絡を行っている。 日英児童絵本の比較研究は、予定した通り、資料調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1.9月開催のシンポジウムに向けて準備を継続する。論文集の企画については、詳細を検討し、出版社との連携を密にしていく。 2.日英児童絵本比較研究では、資料調査と収集を継続する。上述の通り、研究対象となる第一次資料の出版点数が増加するのは1970年代以降とみられるため、それ以降の時代に研究の焦点を据えることが適当と思われる。研究対象の有効な選定のために、さらなる資料調査が必要である。シンポジウム開催後は、ある程度焦点を絞ったうえで、作品分析を開始したい。 今年度の具体的な活動として、夏期の長期滞在中に、共同研究者と面会予定である。シンポジウム開催に備えるほか、児童絵本の資料調査収集の成果を共有し、今後の詳細な研究計画を協議する。さらに、一次資料が所蔵されている機関(大英図書館など)を訪問し、共同で資料調査を行うことを予定している。
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