研究課題/領域番号 |
17KK0030
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
迫 桂 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (60548262)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | ageing / illness / care / gerontology / medical humanities / health humanities / picturebooks / narrative |
研究実績の概要 |
本研究課題は大きく二つの要素から成る。①一つは、題目にある絵本の比較研究である。これは、基課題で計画された内容の一部を、より大きく発展させることを目指すものである。②もう一つは、同テーマ(ageing and illness)をより広い文脈(地域、ジャンル、メディア)で探求するものである。研究連携関係構築も含め、基課題全体の発展を促す効果を狙うものである。 ①共同研究者であるSarah Falcus氏(University of Huddersfield)と国際シンポジウムAgeing, Illness, Care in Literary and Cultural Narratives(於:同大学、2019年9月5-6日)を共催した。文化老年学、医療人文学で著名な研究者による基調講演、人類学、フランス文化、音楽、社会学、演劇、文学、映画など多様な分野の研究者による(理論的)研究報告、芸術療法などの実践例の紹介があった。異なる視点が集ったことで、シンポジウムのテーマを深く掘り下げると同時に、有益な研究交流の場を提供することができた。シンポジウム後は、それに基づく論文集の企画に取り組んだ。企画書を作成、海外学術出版社の契約を得られた。 ②課題で設定した期間における日英の絵本事情を調査し、一次資料収集を開始した。日本では、目録にあたる出版物が充実しているが、イギリスにはそれに該当する出版物がないことが分かった。そこで、日本の絵本の研究から始めることを決め、本課題に最適と思われた一つの目録に基づいて一次資料を収集した。これらの内容を研究代表者が調査、関連度が高いものを選定した。この選定資料の英語翻訳をファルカス氏が読解した。その後、注目すべき特徴、理論的意義等を二人で協議、分析対象とする資料をさらに選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
絵本研究が遅れている。理由は、シンポジウム開催準備に予想以上に時間を費やしたこと、一次資料収集に必要な情報が不足し、収集に時間を費やしたことである。
論文集の刊行スケジュールに遅れが出ている。これは、企画書準備に時間がかかり、企画書提出が予定より遅れたことである。そのため、執筆者に対する原稿提出締切を後倒しする結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
日本の絵本研究を継続、成果を今年度前半中に論文としてまとめる。上述の論文集への収録する予定である。また、2020年10月に開催予定の国際学会で共同発表応募が受理されているので、そこでも成果発表をする予定である。その後、日本絵本との比較の視点から、イギリスの絵本研究を本格的に開始する。欧米の研究者が編者として企画中の研究図書への寄稿を依頼されているため、そこへの収録を目指している。 論文集のほうは、2020年6月末に執筆者から原稿を受理後、編集作業を開始する予定である。 日本の英米文学研究分野において、老いの文化・文学研究の認知度を高め、研究交流を促す目的で、日本英文学会関東支部夏季大会(2020年7月4日)でシンポジウム'Ageing in Literature'を企画している。20世紀文学を対象に、各発表者が異なる作家、作品、ジャンルを扱い、老いと文学の豊かな接点を示すことを目指している。
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