研究課題/領域番号 |
17KK0032
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
南後 由和 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10529712)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | アンリ・ルフェーヴル / シチュアシオニスト / 都市 |
研究実績の概要 |
2018年9月から2019年2月まで、コロンビア大学のVisiting Scholarとしてニューヨークに滞在し、シチュアシオニスト・インターナショナルとコンスタントの関係に関する研究に従事した。コロンビア大学のマーク・ウィグリー教授は、建築史・建築論におけるコンスタントのニューバビロンに関する研究を牽引し、ベルナール・チュミ教授は、シチュアシオニストのノーテーションやカルトグラフィを発展継承した建築設計手法を展開し、エンリケ・ウォーカー准教授は、チュミ教授との対話の著作に加え、アトリエ・ワンやレム・コールハースに代表される建築家による都市のリサーチやマニフェストに関する著作を刊行してきた。 コロンビア大学滞在中の研究では、シチュアシオニストによる「状況の構築」「漂流」「心理地理学」「転用」「統一的都市計画」という概念のうち、主に「統一的都市計画」を対象とし、コンスタントのシチュアシオニスト・インターナショナル脱退以後の動向や、現代の情報社会における展開可能性について考察した。またウィグリー教授らの建築論やニュー・スクールのマッケンジー・ワーク教授らによるシチュアシオニスト研究の成果を踏まえ、ギー・ドゥボールをはじめとするシチュアシオニストの他のメンバーとコンスタントの「統一的都市計画」をめぐる方向性の違いを整理した。 2019年3月からはUCLバートレットのAffiliate Adademicとしてロンドンに拠点を移し、1950~60年代の建築を軸としたシチュアシオニストとルフェーヴルの都市論に関する歴史的研究を、現代都市をめぐる実践的研究へと接続する研究に着手しはじめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究においては、シチュアシオニストや1950-60年代の実験的建築として一括りにされがちであったコンスタントのニューバビロンについて、コンスタントがそれらとの間に保っていた「距離」に着目することによって、その独自性を明らかにすることができた。また「統一的都市計画」の概念にもとづくニューバビロンと、人びとの関与・参加を促し、都市の小さなスケールに介入する短期的・ボトムアップ型の「エンゲージド・アーバニズム」などの現代都市をめぐる諸実践との接点を見出すことができた。 これらのことから、「(2)おおむね順調に進展している。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年8月までは、UCLバートレットを拠点に、同研究機関の研究者たちとの連携を強化しながら、現代の都市・建築論におけるルフェーヴルおよびシチュアシオニストの思想の受容と展開を、具体的な事例に即して明らかにする。9月には日本に帰国し、美術史、社会学、メディア論を中心とした和書の文献収集と分析も進める。
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