研究課題/領域番号 |
17KK0032
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
南後 由和 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10529712)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2021
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キーワード | アンリ・ルフェーヴル / 都市 / 建築 / ひとり空間 |
研究実績の概要 |
1.アンリ・ルフェーヴルの空間論に関する研究の一環として、日本の都市に見られる「ひとり空間」を、「専有型」、「半専有型」、「共有型」、「離接型」、「近隔型」に分類し、コロナ禍において「ひとり空間」がどのように変化したのかについて考察した。具体的には、コロナ禍において、従来は互いに離れていた「ひとり空間」が、オンラインで接続されていくようになる「離接型」や、住宅でリビングを書斎代わりにするために、近くにいる人を間仕切りなどで隔てるなどの「近隔型」のひとり空間が増殖するようになったことを指摘した。そのほか、CCA(カナダ建築センター)のウェブサイトで、日本の都市の「ひとり空間」の歴史的背景や特徴についてのインタビュー記事が公開された。 2.ルフェーヴルが建築について論じた著作、建築学におけるルフェーヴルの空間論の受容に関する文献読解に従事し、これらの成果を、社会学における空間の概念をめぐる学説史へ接続するための研究を進めた。 3.英語圏における「建築の社会学」に関する研究の動向を、第一に、都市間競争を背景とした、グローバル資本主義とスター建築家の有名性の結びつきや、その空間化について論じる潮流、第二に、国家的モニュメントなどの建築に見られる、集合的アイデンティティをめぐる政治について論じる潮流、第三に、建築界におけるコンペティション、教育や徒弟制などの諸制度や、建築家の社会的地位について論じる潮流、第四に、科学技術社会論にもとづき、建築における物質性について論じる潮流などに分けて整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ルフェーヴルの空間論と「建築の社会学」を架橋する研究を進展させることができた。その一方で、都市の「ひとり空間」に関する研究については、新型コロナウイルス感染症拡大のためフィールドワークなどが制限されたことに加え、海外の研究協力者との連携を通じて、日本と欧米およびアジアの諸都市の「ひとり空間」の比較研究に向けた研究を進めることができなかった。 これらのことから、「(3)やや遅れている。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
日本の都市の「ひとり空間」に関する研究にとどまらず、欧米およびアジアの諸都市の「ひとり空間」との比較研究に発展させていくため、海外の研究者と連携し、共同研究の成果を発表できるよう準備を進める。
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