研究課題/領域番号 |
17KK0032
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
南後 由和 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10529712)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2022
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キーワード | アンリ・ルフェーヴル / 都市 / 建築 / ひとり空間 / 新型コロナウイルス / 映画 |
研究実績の概要 |
1.アンリ・ルフェーヴルの空間論に関する研究の一環として、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大によって、日本の都市の「ひとり空間」がどのように変化したのかについての研究を進めた。ひとり焼肉店やひとりカラオケ店の増加など、集団向けコンテンツの個別化という現象に着目し、都市の近接性や高密性という条件や価値について考察した。
2.インタビュー出演したCCA(カナダ建築センター)の『When We Live Alone』――東京を舞台として、世界の主要都市で増加している単身者を含む、さまざまなタイプの「ひとり」の背後にある社会の変化が都市や建築に与える影響を多面的に析出したドキュメンタリー映画――が公開された。
3.日本と欧米およびアジアの諸都市の「ひとり空間」の比較研究として、東京ビエンナーレの「批評とメディアの実践のプロジェクト」のウェブジャーナル『RELATIONS』において、「COVID-19・ひとり空間・都市」と題した特集を組んだ。現代都市における「ひとり空間」は、家族や組織のあり方、性や結婚をめぐる価値観、パブリックとプライヴェートをめぐる境界意識、働き方、経済状況の変化など、世界の国々に共通するグローバルな事象と、それぞれの国や地域に固有のローカルな事象が絡み合ったものとしてある。特集では、日本のみならず、海外の都市の事例にも光を当てることで、日本の都市における「ひとり空間」のあり方を相対化するとともに、ソーシャルメディアをはじめとする情報化やCOVID-19などを背景とした「ひとり空間」の増殖や変容という世界で同時進行する事象にアプローチした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外の研究者との連携を通じて、日本と欧米およびアジアの諸都市の「ひとり空間」の比較研究に向けた研究に着手することができた。その一方で、現代都市を対象としたルフェーヴルの空間論の展開に関する理論的研究を進めることが十分にできなかった。そのため、「(3)やや遅れている。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
英語圏を中心とした現代の都市論におけるルフェーヴルおよびシチュアシオニストの都市・空間論の受容と展開についての理論的研究を進展させる。
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