本研究は陶器窯の構造分析と消費地出土遺物の産地同定という二つの側面をから、クメール黒褐釉陶器の生産=流通システムの解明を目的とする。カンボジアで新たに発見された黒褐釉陶器窯を発掘し、長期滞在による出土遺物の徹底的な調査を実施することで、1)窯体構造に関する疑義解明とクメール黒褐釉陶器窯の窯体構造のモデルを明確にし、さらに2)消費地遺跡出土遺物の産地同定を実施した。発掘調査に基づく遺構研究を実施した結果、クメール黒褐釉窯はこれまでの代表者の主張通り、基本的にクメール灰釉陶器の基本構造を踏襲したものであることが確実となり、国際的な論争に終止符を打つことが可能となった。
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