研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
現在入手しうる写本資料の欄外註や後代の註釈文献に基づいて、10世紀頃のカシュミールでシヴァ教神学者ウトパラデーヴァによって著され、そして後に失われた『主宰神の再認識詳注』の再構築を試みた。一部まとまった形で伝承されているが、大部分は断片的な形であることが明らかになった。南インドで著された註釈群には『主宰神の再認識詳注』が見られないことから、南インドには『主宰神の再認識詳注』が伝承されていない可能性が高い。
シヴァ教
『詳注』を再構築する過程で、南インドで著された註釈群を参照している。これらの註釈群は未出版の文献であり、南インドでシヴァ教一元論がどのように受容され、シヴァ教文化がどのように形成されたのかを考える上で、貴重な情報源になる。また、本研究は失われた文献の痕跡を辿っている。このことは、宗教文化の伝承や南北インドの文化交流の実態解明に資するものである。