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2019 年度 実施状況報告書

移民の身体ポリティクス:インド舞踊のグローバル化とエージェンシー

研究課題

研究課題/領域番号 17KK0038
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

竹村 嘉晃  国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (80517045)

研究期間 (年度) 2018 – 2020
キーワードインド舞踊 / シンガポール独立 / 文化芸術政策 / ライフヒストリー / グローバル・ネットワーク / ラーマーヤナの現代的受容 / スリランカ系タミル人
研究実績の概要

令和元年度は、シンガポール大学人文社会科学部南アジア研究プログラムに客員研究員として籍を置き、共同研究を推進すると共にシンガポールのインド芸能の発展に貢献した個人のライフヒストリー、独立前後の政治動向と芸能との接点、インド系舞踊家たちのグローバルなネットワークや海外との共同制作の実態について文献調査とフィールドワークから解明することを目的に研究に従事した。
フィールドワークはシンガポールのほかに、タイ(2019年5、7月)、スリランカ(同年12月)インド(2020年1月)で短期調査を実施した。そこでは、ASEANにおけるラーマーヤナの受容動向や国際的共同作品の制作過程、スリランカにおけるバラタナーティヤムの受容・表象をめぐる民族間の軋轢、インド系シンガポール人実演家たちのインドでのネットワーキングや公演活動の実態などが明らかになった。
当該年度は、国際学会やシンポジウムで積極的に研究発表を行った年でもあった。2019年7月にタイ(The 45th International Council for Traditional Music World Conference)、10月にアメリカ(The 48th Annual Conference on South Asia)、11月にシンガポール(The 3rd Asian Consortium of South Asian Studies Conference)、12月にスリランカ(UVPA International Research Symposium 2019)で研究発表を行い、参加した海外研究者と意見交換や情報共有、本研究課題における問題点などの助言を得たことはたいへん有益であった。最新の研究動向や概念をどのように本研究の課題と結びつけていくのか、理論的な枠組みの構築が今後の鍵となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

執行2年目となった本年度は、共同研究の受け入れ先であるシンガポール大学での研究活動とフィールドワークに多くの時間を費やした。シンガポールでのフィールドワークを順調に進め、その成果を国際学会やシンポジウムなどで積極的に発表し、海外研究者との意見交換や情報共有、ネットワーキングなどができたことと、研究協力者との意見交換や問題意識の共有ができたことをふまえ、本研究の課題の進捗状況は概ね順調に進展している。
今年度の課題として残ったのは、研究協力者と個別での情報共有や意見交換はできたが、プロジェクト全体として枠組みを共有したり、全体を統一する概念の構築や議論の発展が十分に進んだとはいいがたい点である。

今後の研究の推進方策

令和2年初頭より新型コロナウィルスが世界中に感染拡大したことで、本研究課題の遂行最終年となる令和2年度の研究計画は、当初の予定にある在外研究とフィールドワークが遂行可能であるのか不透明な状況が続いている。外務省が発する海外渡航情報や共同研究の受け入れ先であるシンガポール大学とローハンプトン大学(イギリス)の研究協力者や関係部署との連絡を密にし、期間延長や変更などを含めて実施計画を再検討する。
また本研究課題の全体に関する成果公表として、研究協力者を招聘した国際シンポジウムを年度末に開催する予定でいるが、同様に新型コロナウィルスの感染状況や共同研究者の状況などを考慮しながら、日程調整を行っていく。
これらと並行して、研究成果の一部としてこれまでに公開した研究発表をまとめた論文の執筆を進めていく。
本研究課題においてはインド舞踊のグローバル化に焦点をあてて実演家のグローバルなネットワークと創作活動、シンガポールの文化政策との接合などについて考察してきたが、インド系ディアスポラたちのなかでもこうした古典芸術とは馴染みのない人々が受容する芸能文化、なかでも宗教やポピュラーカルチャーの文脈で活動する音楽実演家たちの実態分析が必要であることが課題して浮かび上がってきた。この点については、新たな研究課題として本研究後の研究計画を策定するつもりだが、シンガポールを事例にその動向をできるかぎり把握できるよう努めていく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 書評 塚田健一著『エイサー物語――移動する人、伝播する芸能』2020

    • 著者名/発表者名
      竹村嘉晃
    • 雑誌名

      舞踊學

      巻: 42号 ページ: 77-79

  • [学会発表] The Decline of Interests and the New Emerging Agencies: Bharatanatyam and Sri Lankan Tamils in Singapore2019

    • 著者名/発表者名
      竹村嘉晃
    • 学会等名
      東洋音楽学会西日本支部第283回定例研究会/科研費基盤(C)「スリランカ系タミル人によるインド舞踊の発展と再々構築化に関する全体関連的研究」合同開催
  • [学会発表] インド芸能から考える舞踊民族誌の視角2019

    • 著者名/発表者名
      竹村嘉晃
    • 学会等名
      国立民族学博物館共同研究「音楽する身体間の相互作用を捉える――ミュージッキングの学際的研究」
    • 招待講演
  • [学会発表] Identification of Traditional Values in the Performance of the Ramayana amongst the Indian Diaspora in Singapore2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Takemura
    • 学会等名
      The 45th International Council for Traditional Music (ICTM) World Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] ‘The Arts Power on!’: the Development of Indian Performing Arts and the Germ of Cultural Policy in the Early 1960s in Singapore2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Takemura
    • 学会等名
      The 48th Annual Conference on South Asia
    • 国際学会
  • [学会発表] Decline in Interest or Emerging New Platform Evolving?: the Transformation of Bharatanatyam among the Indian Diaspora Communities in Singapor2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Takemura
    • 学会等名
      The 3rd Asian Consortium of South Asian Studies Conference, South Asia in Context: Genealogies and Trajectories
    • 国際学会
  • [学会発表] Tamilness or Global Indianess?: Evolution of Bharatanatyam and Sri Lankan Tamil Diaspora in Singapore2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Takemura
    • 学会等名
      UVPA International Research Symposium - 2019 in Collaboration with ICTM Research Group - Harvard University
    • 国際学会
  • [図書] 東南アジア文化事典(「東南アジアのインド芸能」担当執筆)2019

    • 著者名/発表者名
      信田 敏宏
    • 総ページ数
      832
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      978-4-621-30390-0

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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