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2020 年度 実績報告書

日・仏・欧比較による多層的規制モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 17KK0039
研究機関北海道大学

研究代表者

村上 裕一  北海道大学, 法学研究科, 准教授 (50647039)

研究期間 (年度) 2018 – 2020
キーワードマルチレベル・ガバナンス / 調整 / 条約実施 / 独立規制機関 / 広域自治体 / 裁量 / 民主的統制 / 委任
研究実績の概要

本研究のタイトルにある「多層的規制」の理論的背景としてあるマルチレベル・ガバナンス(MLG)は、官・民の様々なアクターやルールがある組織・権限構造をなす空間において、人や組織、ルールの間にいかなる水平的・垂直的調整があるかに注目する。本研究では、ボルドー政治学院での国際共同研究により、日・仏・欧の行政の比較を通して、MLGの理論と現状を調査研究し、民主的で公益的な多層的規制モデルを構築することを目的としていた。本研究で注目したのは、①国際機関や国際条約、②独立規制機関や規制監督機関、③規制等政策の決定と実施の間の関係性とreconciliationやcollaborationのメカニズムである。本研究の結果、①分権化(あるいはより一般的に、政策現場への権限移譲)は、自治体など政策現場の果たすべき役割と権限と責任が当事者に実感されるということに繋がるが、その分権化に起因する様々な弊害は、国や広域自治体、独立規制機関などの関与によってかなり克服されるということ、②政策の決定(ルールメイキング)と実施(エンフォースメント)の間では、既存の諸制度を効率化・統合したり、決定事項と実行可能性の「帳尻合わせ」をしたり、実施手法に関する裁量を状況をよく知る現場に委譲したりする、時間的・空間的広がりの中での「調整」が行われるということ、③科技行政やCOVID-19対応の国際比較を踏まえると、平時・有事の違いこそあれ、民主的「統制」は専門家等に「委任」する範囲との対比で捉え直す必要があるということ、他方で、民主的統制が多元的に及ぶことによって公益性が高まり得るということ、が明らかになった。本研究全体で明らかになったのは、これまでの欧州統合の歴史上、概念的に捉えられがちだったMLGは、一定の条件の下で、民主性や公益性、より良い行政や政策を実現するための「戦略」としても機能し得るということである。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021 2020 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 4件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Institut d'Etudes Politiques de Bordeaux(フランス共和国)2018

    • 年月日
      2018-09-18 – 2020-09-17
    • 国名
      フランス共和国
    • 外国機関名
      Institut d'Etudes Politiques de Bordeaux
    • 主な海外共同研究者名
      Prof. Dr. Gilles Pinson
    • 部局
      Centre Emile Durkheim
    • 職名
      Professor
  • [雑誌論文] 科学技術政策におけるモニタリングとアドバイス:フランスの試行錯誤を踏まえた評価の改善策2021

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      日本評価研究

      巻: 第21巻・第1号 ページ: 71-83

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] フランスにおける諸改革と社会:年金制度、高等教育・研究のいま2020

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      北海道自治研究

      巻: 615 ページ: 18-19

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地方創生アンケートから評価する市町村の合併と連携2020

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      日本評価研究

      巻: 第20巻・第2号 ページ: 105-119

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 行政への民主的統制と委任:科学技術・イノベーションにおける現状と展望2020

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      北大法学論集

      巻: 第71巻・第3号 ページ: 59-98

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 行政学から見たコロナ危機2021

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 学会等名
      北大院法学研究科附属高等法政教育研究センター 公開講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 書評:標葉隆馬『責任ある科学技術ガバナンス概論』について2021

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 学会等名
      科学社会学会オンライン研究会(合評会)
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本では科学技術行政へのある種の民主的統制が強過ぎる2020

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 学会等名
      日本公共政策学会研究大会(第24回)
  • [学会発表] 希少種保護条約レジームのトランジション・マネジメント2020

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 学会等名
      日本計画行政学会全国大会(第43回)
  • [学会発表] それは科学技術分野から始まった:フランスにおけるモニタリングとアドバイス2020

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 学会等名
      日本評価学会全国大会(第21回)
  • [備考] 村上裕一のホームページ

    • URL

      https://lex.juris.hokudai.ac.jp/~yuichim/

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公開日: 2021-12-27  

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