基課題では、農村女性の地位と権利意識を決定づける社会・経済的要因を明らかにし、女性のエンパワメント(能力・地位の向上)に役立つ知見を探るため、経済学的アプローチによる研究を行っている。女性の地位向上を主目的として発展したジェンダー研究と、宗教や伝統的慣習を熟知する地域研究の視点を取り入れ、異分野融合の視点を取り入れた研究を行う必要性が生じた。 そのため、2018年9月より、オックスフォード大学国際ジェンダー研究センターにてMaria Jaschok氏の受け入れのもと研究を実施し、2019年3月にはアムステルダム大学に移動し2019年8月まで研究を実施した。アムステルダム大学では、受け入れ研究者であるSpronk氏に、関連する研究者を紹介頂き、共著論文を執筆するための調査研究を行った。インド農村での調査研究については、英国での議論を踏まえた論文を作成し、6月に共同研究者がジェンダー問題に関する国際学会にて成果を報告を行った。新たな着想を得て開始した研究課題については、文献調査と2次データに基づく国際比較を行い、2019年5月にアムステルダム大学にて、学生、研究者、活動家などに向けたセミナーで報告を行った。また、アムステルダム大学の研究者から重要な文献などの示唆を得ながら行ったアンケート調査の結果を6月下旬にアムステルダム大学に所属する研究者を対象とした研究会にて報告、討論を行った。これらの研究成果は共著論文としてとりまとめて投稿準備中である。 以上の調査研究に加えて、本研究課題の重要な柱である、欧州における国際研究ネットワークの形成も推進した。2019年7月にはアムステルダム大学で開催されたジェンダー政策学会に参加しジェンダー関連の研究者を中心に交流を行った。8月には自由大学を訪問し異なる分野の研究者と意見交換を行い、今後の共同研究の礎となる関係を築いた。
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