研究課題/領域番号 |
17KK0042
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 栄一 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (50370078)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 公選職 / 教育政策 / 首長主導教育改革 / 教育委員会 / 教育行政 / 民主性 / 専門性 / 教育長 |
研究実績の概要 |
2019年度は8月下旬から海外渡航を行い、9月から海外共同研究者の所属組織であるコロンビア大学ティーチャーズカレッジに客員研究員として研究活動に従事した。研究実績の概要は以下の4点である。 1。受け入れ教員のジェフリー・ヘニグ教授の著作物“The End of Exceptionalism in American Education: The Changing Politics of School Reform”の翻訳を行った。ヘニグ教授との密度の濃いやりとりを踏まえて、2020年4月の帰国(後述)までに本文の翻訳をおおむね完成させることができた。特に、アメリカの教育と政治の文脈を理解する上で、共同研究が大きく寄与した。同時に、アメリカの事例に対応する日本の教育についての共通理解を図った。 2。海外共同研究者にアドバイスを受けながら、日本の教育委員会制度改革について、学術論文の英語草稿を執筆した。特に、アメリカの学術界に受け入れられる議論の組み立て方、日本の事例の位置づけ方については、今回の共同研究により洗練させることができた。次年度に英文学術雑誌に投稿する予定である。 3。日本の教育と政治との関係について、依頼を受けた新書の原稿を執筆し、現在5分の2ほど執筆した。 4。日本の教育システム、もしくはその日米比較について依頼されたエッセイ3本を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)交付内定をうけ、渡航先の研究機関・海外共同研究者との調整を昨年度以来順調にすすめてきた。昨年度末に交付決定がなされた後、今年度前半において、渡航準備を本格的に進め、所属組織内の調整を済ませた後、年度後半からの渡航先での研究活動を円滑に開始できた。 (2)特に、所属組織内の調整については、代替要員の雇用をはじめとする対応を行い、研究代表者の担当授業について、非常勤講師を雇用し、代替要員とした。指導学生の指導体制の変更も所属機関で調整を行い、円滑にその移行ができた。 (3)渡航先での研究活動において、海外共同研究者の著作物の翻訳については、渡航前に草稿を作成したことで、渡航後に海外共同研究者との作業を円滑に開始することができた。そのおかげで渡航予定期間の中頃である今年度末の時点で、本文の翻訳をおおむね完成させることができた。 (4)日本の教育委員会制度改革に関する英語論文の執筆については、草稿を準備しただけではなく、海外共同研究者からの有益なコメントを得ることができた。日本の教育システムについて、前記翻訳作業を通じて、相互理解を深めたことで、この英語論文についても海外共同研究者から適切なコメントを得ることにつながった。このほか、滞在先の研究機関の研究支援インフラを活用し、校閲サービスを受けたり、アカデミックライティングについてのスキルアップを図ることもできた。 (5)論壇誌や職能団体の機関誌等からの原稿依頼をうけ、滞在中の知見をふまえて、本研究のアウトリーチ活動を行うことができた。 (6)滞在先において現地研究者との人的ネットワークを形成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)今年度末に、滞在先(ニューヨーク市)でCOVID-19のアウトブレイクが発生したため、早期帰国を余儀なくされた。本来の滞在期間である2020年8月末までの滞在が叶わなかったため、代替策を講じる必要がある。当面の推進方策として、海外共同研究者とはZoom等の手段を用いた研究環境を構築した。また、受け入れ研究機関から提供される各種研究資源の利用資格の延長について今後交渉していく予定である。 (2)翻訳については2020年度内の出版を目指す。英語論文について、海外共同研究者との作業を継続し、少なくとも2020年度内に投稿を行えるように執筆を進める。 (3)しかしながら、本研究課題に対するパンデミックの影響は大きいことは否定できない。そのため、2020年度以降への補助事業期間の延長を検討し、研究課題の達成を図りたい。 (4)海外共同研究者以外の研究者との人的ネットワークを活用した研究活動の展開も模索したい。
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