本研究は、日本における企業間賃金格差の進行や公共/私的職業紹介事業の役割やシステムが欧米諸国と共通の枠組みにあることを示すという学術的意義がある。国際比較をする際には比較可能なようにデータを調整する必要があるが、本研究では日本の既存研究にある程度合わせた形で各国データが集計され、より厳密な形で国際比較が実行できた。また、各国の職業紹介の役割やシステムは非常に似ている一方で、データ利用は進んでおらず業務分析も滞っていることがわかった。これらの学術的意義は、労働政策を設計するうえで日本国内の事情のみに依存せず、積極的に外国の経験を取り入れられる可能性を示したという意味で社会的にも意義がある。
|