本研究の目的は、紛争の動態に対する議会の影響を分析することである。特に、議会・議員の行動が国家の対反乱政策や国内紛争にどのような影響を与えるのか、分析を行う。議会が紛争に与える効果は、政治制度などの国内要因と援助などの国際的な要因の双方に依存すると考えられる。このため、複数の事例について、国内・国際双方の要因の影響を勘案しつつ、分析する。その際、質的分析と計量分析を組み合わせる。 R3年度は、一橋大学にてデータの収集と分析を進めた後、ノルウェーのオスロ大学と米国ジョージ・ワシントン大学に滞在し、共同研究者と分析の修正や論文執筆、投稿を行う予定であった。しかし、新型コロナウィルスの影響により、ノルウェーと米国を訪問することは困難であった。このため、理論の構築や計量分析を進めた。その際、リサーチ・アシスタントの協力を得つつ、分析を進めた。また、限定的ではあるものの、海外の共同研究者と理論や分析手法について意見交換を行った。 国家が複数の反乱軍と内戦を戦っている状況において、ひとつの反乱軍との間で和平合意に関わる議論が議会で行われると、他の反乱軍との間の暴力が激化する傾向が見られた。このため、そのような効果が生じる原因や条件について理論化を進めると共に、計量分析を通じて分析結果の更なる検証を進めた。国内のワークショップにおいて研究成果の一部を報告し、フィードバックを得た。その上で、理論や計量分析の改善を進めた。
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