研究実績の概要 |
本研究は、日英の子どもたちによる問題解決や社会問題に対する思考過程の違いを分析し、彼らの思考過程に基づき、対話を方法原理とした論争問題学習の方略を開発する。具体的には、第1に論争・議論(合意が出来ない状況)における子どもの思考過程を日英で調査し、第2に本領域を先駆的に進めている英国の研究者と共に日英の提携校で①を活用する論争問題学習(年間カリキュラム)を開発・実践し、第3に合意の不一致を子ども自ら調停する論争問題学習モデル(目標・内容・方法・評価の一体的教育論)を日英共同で開発・検証するものである。 本年度は、昨年度までの英国リーズベケット大学における在外研究を生かし、主に2点目、3点目に取り組んだ。特に、頻繁に国家間で社会問題化される歴史的事象の重要性を自身で解釈し、論争的に捉え直す実践を日英で共同開発した。具体的には、生徒個々人が「歴史における重要人物(歴史におけるsignificant))」を設定し、その理由を歴史の文脈の中に位置づけ、生徒間で対話を行う授業を日英で共同開発し、日英の中等学校で実践した。また、同時にメディア規制を批判的に検討する授業を日本で開発・実践を行い、以下へ投稿した。Noboru Tanaka, Social Studies Education Utilising Children’s Motivations: A Method for Connecting Children and Society, The Journal of Social Studies Education in Asia, Vol.9, 2020(査読有、掲載予定)。後者の授業は、2月に英国での実践、及び英国人研究者を招聘した国際会議の開催を3月に予定していたが、両者ともに新型コロナウイルスの蔓延により中止となってしまった。
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