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2019 年度 実施状況報告書

賃金分布と資産分布の決定メカニズム:企業の異質性を導入した労働サーチ理論の分析

研究課題

研究課題/領域番号 17KK0047
研究機関同志社大学

研究代表者

荒渡 良  同志社大学, 経済学部, 准教授 (20547335)

研究期間 (年度) 2018 – 2020
キーワード所得分布 / 政府支出 / 国債
研究実績の概要

令和元年度9月からカナダのカルガリー大学にvisiting schalorとして滞在し,以下の三つの研究を行った.いずれの研究も受け入れ先の大学で他の研究者と交流・意見交換をしながら実施された.
一つ目の研究では政府支出のサイズの変化が所得分布と経済成長率に与える影響について,理論的な検証を行った.本研究では個々人の研究・開発能力に異質性がある経済において,政府支出のサイズが「労働者か企業家か」という職業選択を通じて,経済成長率に与える影響を明らかにしている.分析の結果,政府支出のサイズが十分に小さい,もしくは十分に大きい場合には,政府支出のサイズの変化は経済成長率に大きく影響するものの,政府支出のサイズが極端な水準にない場合には,政府支出のサイズの変化は経済成長率にあまり影響しないという結果が得られた.これは,政府支出のサイズが極端な水準にない場合には,政府支出サイズの変化は所得分布には影響するものの,経済成長率にはあまり影響しないことを意味する.この分析結果は先行研究では指摘されてこなかったものであり,政府サイズと所得分布・経済成長率の関係について,新しい知見を与えるものである.この研究成果は論文としてまとめられ,現在査読付きの国際学術雑誌に投稿準備中である.
二つ目の研究は政治家のリーダーシップが政党形成とその下で決定される政策に与える影響に関するものである.近年,先進国を中心に大統領や首相など,政治家トップのリーダーシップに関する注目が高まっている.強いリーダーシップを持つ政治家の登場は政策の形成と,その下で決まる所得分布に大きな影響を及ぼすと考えられる.この研究はまだ基礎モデルの構築・分析が出来たばかりである.来年度には発展的なモデルを構築し,政治家のリーダーシップが職業選択や所得分布に与える影響を分析する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

いくつかの研究は順調に進んでいる.一方で,共同研究実施のためにカナダに滞在している期間中にCOVID-19流行のための大学が閉鎖され,当初予定していた研究打ち合わせや研究報告などは全てキャンセルとなり,当初の予定通りに進んでいない研究もある.

今後の研究の推進方策

まず,これまでの研究成果を全て学術論文の形にまとめた上で,国内外の学会・セミナーで報告し,問題点の確認の修正を行う.最終的には査読付き国際学術雑誌に投稿する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Age gap in voter turnout and size of government debt2020

    • 著者名/発表者名
      Ryo Arawatari and Tetsuo Ono
    • 雑誌名

      International Tax and Public Finance volume

      巻: 27 ページ: 435-460

    • DOI

      10.1007/s10797-019-09563-8

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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