研究課題/領域番号 |
17KK0052
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
永野 仁美 上智大学, 法学部, 教授 (60554459)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 障害者雇用 / 福祉的就労 / 障害差別禁止 |
研究実績の概要 |
本研究は、フランスの研究者とともに日仏の障害者雇用・福祉的就労に関する法制度、及び、その実際の状況を調査・研究することを目的としている。フランスでの共同研究は、2019年度に実施することを予定しているため、2018年度は、もっぱらその準備のための研究を行った。具体的には、フランスの法制度について情報をアップデートするとともに(障害者雇用に関しては2018年9月5日の法律により見直しがあり、事業主が負う障害者雇用義務の強化が図られた)、日本の障害者雇用に関して生じている問題点について整理を行った。特に、2018年夏には、公的部門において就労している障害者の数の水増しが、大きな社会問題となったことから、これまでの民間企業・事業者を中心とした研究では見逃しがちであった公的部門における障害者雇用の課題の整理も行った(関連する論文・インタビュー記事を2つ公表した)。また、特例子会社・A型事業所・B型事業所の経営者らとの研究/勉強会・シンポジウム・意見交換を通じて、日本の障害者雇用・就労の現場で生じている課題についても整理を行うことができた(例えば、企業が福祉的就労の事業者に何らかの仕事を発注した際に、これをどのように制度上評価するかといったことが課題となりうることを確認した)。こうした研究活動を通じて、2019年度に実施予定の共同研究のための事前準備を丁寧に行うことができた。日仏双方の障害者雇用・就労が抱える課題を整理しつつ、その課題を解決するための方法を探求する準備はできたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、本研究は、2019年度に実施予定のフランスでの共同研究により本格的に進められる予定である。2018年度はそのための準備を行う必要があったが、日仏の障害者雇用・就労に関する新しい動き(法改正)や、新たに生じている課題等について整理をすることができた。2019年度に実施予定の共同研究のために必要な事前の準備はしっかりと行うことができたため、本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、準備のための年度であったが、2019年度はフランスでの在外研究を本格的に行う年度である。4月以降夏にかけて、フランスでの障害者雇用・就労に関する新たな動き(2018年法改正の施行規則など)を詳細に調査すると同時に、特に精神障害者の雇用・就労に関してヒヤリング調査を通じて実態調査を行う予定である。具体的には、フランスの精神障害者の日常・社会生活を支えるための仕組み(セクター制度)について調査すると同時に、精神障害者が多く働いているESAT(日本で言うところの福祉的就労の場)での調査を試みる。また、日本で生じている課題との関係から、フランスにおいて公的部門の障害者雇用の推進に任を負うFIPHFP(公的部門障害者参入基金)でもヒヤリング調査を実施する予定である。夏休み明けには、日仏の研究者を集めての障害者雇用に関する国際シンポジウムの準備を開始し、年末又は年度末の開催を目指す。また、並行して、フランスで実施される精神障害と就労をテーマとするシンポジウム(労働組合が主催)での発表の準備も行い、報告を行う予定である。
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