研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
人間をはじめ社会的生物はなぜ互いに協力し合うのかという根源的テーマを取り扱う協力の進化研究において、間接互恵性は多くの研究が行われてきたものの、ほとんどの理論研究は公的観察という非現実的な制約があった。申請者は、これを緩めた時の解析困難性を解消する単独観察法という手法を開発し、本研究においてこれまで解析されてきた社会規範に対して網羅的に適用することで、新たな知見の抽出に成功した。
進化ゲーム
現実的な仮定での網羅的分析により、間接互恵性による協力がどのようなメカニズムで発生するのかに関する体系的な理解を得ることができた。このことは、人間はなぜ協力するのかという原理的な問いに対する知見を提供しているだけでなく、道徳規範研究という新たなテーマに対しても貢献する可能性がある。申請者はそのため、アルゴリズム的偏見を回避するための人工知能原則の探求という、現代社会の喫緊の課題に対する理論的な接近を試みている。