研究実績の概要 |
本研究の目的は、東アジアにおける長年の紛争を単に観察し封じ込めることではなく、再考し変革することである。伝統的に、このような紛争とそれに伴う暴力は、ウェストファリアの近代性に伴う二項対立的なレンズを通して再生産されてきた。本研究は、オーストリア、日本、韓国、ニュージーランド、台湾、英国、米国を拠点とする研究者の協力を得て、「政治的癒し(ポリティカル・ヒーリング)」としての独創的かつ非二項対立的なアプローチを開発するものである。東アジアにおけるいくつかの紛争の根底にあるパターンを診断し、それを治療する方法を提案する。具体的には、アジア哲学、宗教学、政治学、ポストコロニアル研究など、さまざまな学問的観点から東洋医学の思想と実践をケーススタディとして取り上げる。多彩な学術的背景を持つ多国籍のプロジェクトメンバーは、現在進行中の紛争を共有された「政治的身体」の「病気」として理解し、「治療」できると提案している。主要な研究成果はThird World Quarterly誌(Taylor & Francis)の特集号(45巻6号)として出版され、研究代表者陳慶昌が客員編集長を務めている。さらに、陳が9本の論文のうち3本を執筆している。Third World Quarterlyは、開発学と国際関係論の分野で権威的な国際学術誌である(2022年Impact Factor 2.0)。2024年4月下旬の時点で、特集号が19,000以上のオンライン閲覧数を獲得していることは、本研究成果の質の高さと影響力の大きさを示している。
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