研究課題/領域番号 |
17KK0062
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
呉 世雄 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (00708000)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2022
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キーワード | 社会的企業 / 社会的経済 / 開発型ソーシャルワーク / ソーシャルファーム |
研究実績の概要 |
2021年度は、新型コロナウイルスの影響で海外調査は実施できなかったものの、オンラインによる調査や学術交流、成果報告、文献収集・翻訳を行うことができた。 1.韓国の社会的企業へのインタビュー調査:COVID-19による経営への影響を把握するため、以前現地調査でお世話になった3名の社会的企業経営者を対象に、Zoomを使ったインタビュー調査を行った。コロナ禍は社会的企業の経営にも深刻な影響を与えていた。売上高の減少、社会サービス提供型企業の事業閉鎖、労働者の経済的・精神的ストレスなど、多くの課題が語られた。一方、コロナ対策として、政府による経営・雇用支援や労働者のための福祉支援が実施されていた。行政機関などが社会的企業の商品やサービスを購入することを促進する公共購買制度の運用実績は、2021年の購買額が1兆8千億ウォンに上り過去最高額を更新し、この制度がコロナ禍で苦しむ社会的企業の大きな支えとなっていることが分かった。一方、近年、社会的企業育成政策の軸が、量的拡大や直接支援から質的成長や間接支援へと移行するなかで、そのような経営環境の変化にどう対処していくか苦慮している様子もうかがえた。今後、政権交代による影響も含めて社会的経済組織への支援政策の方向性については注視していく必要がある。 2.調査結果の報告・学術交流:東京都が主催するソーシャルファーム・セミナーにて、上記の調査を含めてこれまでの研究成果をまとめて報告することができた。2回にわたり、「韓国の社会的企業育成政策の動向と課題」について報告を行うともに、東京都のソーシャルファーム関係者との交流を通して、社会的企業への政策的支援の在り方について議論する良い機会となった。 3.社会的農業に関する書籍の翻訳と事例集の作成:日本の農福連携事例をまとめた書籍を翻訳し、韓国で出版するための準備作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響を受けながらも、オンラインによる調査や情報収集を行うことができた。なお、昨年より取り組んでいる社会的農業に関する翻訳出版については、出版先の手配などに時間を要したため次年度に行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の最終年であるため、これまでの研究成果をまとめ、学会での報告や論文投稿を行うことに重きを置きたい。
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