研究実績の概要 |
基課題から継続中の「総合評価方式入札の基礎研究」に関する論文"Theory, Identification, and Estimation for Scoring Auction"(中林純、鶴岡昌徳、広瀬要輔との共同研究)を改訂した。具体的には、企業数を操作変数に用い費用関数のパラメータも推計し、私的情報の分布の推計に役立てるとともに、基礎理論や識別の議論を整理・改善した。
国際共同研究として継続している課題「調達におけるモラルハザードとアドヴァースセレクションの相互作用」について研究を継続し、以下のような成果を得た。第1に、結果の頑健性を論じ、一定の頑健性を有することを示した。具体的には、事業者選択メカニズムとして2位価格入札を用いて示された主結論(「事後的なモラルハザードを軽減するためのペナルティが高まると、支払い能力の低い事業者が選択される」)は、1位価格入札を含んだより一般のメカニズムを用いても成立することが、表明原理を用いた議論により証明された。第2に、支払い能力も費用効率とも高いもの、および両方ともに低いものという2タイプ、完全情報という形で定式化された例を用いて、ペナルティの上昇が社会的に見て非効率的な結果を生じさせることをを簡潔に示した。これらの成果は論文“Pay for Performance in Procurement”(Juan-Jose Ganuza,Fernando Gomezとの共同研究)の改訂版にこれまでの成果と合わせて取りまとめた。それらの研究結果をオンラインや対面でいくつかのワークショップおよび研究会で発表し、議論を行った。
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