本プロジェクトでは、文化的背景の多様性を組み込んだ理論モデルを構築し、さらに実証研究を行った。理論的モデルを構築することにより、労働者の文化的背景が増加すると、イノベーションが進み労働者の賃金が向上する反面、コミュニケーション費用が増加することによって社会的厚生が低下する場合があることが示された。また、能力の高い労働者がたくさんのコミュニケーションをとることに成功して賃金が上昇するのに対し、能力の低い労働者はコミュニケーションをとることが出来ずに賃金が低下することが示された。つまり、文化的背景の多様性の増加は全体の経済厚生は改善させるが、労働者間の格差が拡大させることが示された。
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