研究課題/領域番号 |
17KK0069
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西谷 真規子 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (30302657)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | オーケストレーション / グローバル・ガバナンス / 国際機構 / 腐敗防止 / 国際関係論 |
研究実績の概要 |
本研究では、腐敗防止分野における国連薬物犯罪事務所(UNODC)、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)等の機関によるオーケストレーションについて、聞き取り調査および文献調査を基本とした事例分析を行う。 H30年度には、UNODCによる「司法の廉潔性ネットワーク」のオーケストレーションについて分析した。10月にコペンハーゲンで開催された国際腐敗防止会議に参加し、関係者との交流を通じて関連情報を収集したうえで、11月にさいたま市で開催された日本国際政治学会にて「多中心ガバナンスの正統性と有効性――腐敗防止グローバル・ガバナンスを事例に」と題する論文報告を行った。この報告は"Effective and Democratic Orchestration in Polycentric Global Governance:Case of Judicial Integrity"と題する論文に基づくもので、司法の廉潔性に関する二つのネットワーク(Judicial Integrity Groupおよび Global Judicial Integrity Network)におけるオーケストレーションを比較し、オーケストレーターの交代を正統性の面から説明した。 さらに、3月にトロントで開催されたInternational Studies Association(ISA)年次大会で"The Reflexive Legitimation of Global Governance through State Transformation (GGST)" と題する報告を行った。これらの研究活動によって、9月からの渡航後の共同研究がスムーズに始められるように下地を整えることができたといえよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた国際腐敗防止会議(コペンハーゲン)への参加とISA年次大会(トロント)での中間報告に加えて、国際政治学会でも論文報告を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、渡航後は、欧州・北米・日本の共同研究者間で頻繁に連絡をとりあいながら全体の体系化を進める。主たる共同研究者は、オーケストレーション論の創始者の一人であるSnidal(オックスフォード大学政治国際関係論学部)であり、理論的・方法 論的精緻化と、欧州の研究者を繋ぐフォーカルポイントの役目を果たす。また、オケ論のもう一人の創始者であるAbbottは、オケ論に関する著作の殆どをSnidalと共著で発表していることから主たる共同研究者としてワンセットと捉えることができるが、実証分析の比較に基づいた理論的総括と、主に環境分野の多中心的ガバナンス研究者および北米の研究者を繋ぐ役割に重点が置かれる。 応募者は日本側の研究総括を担うとともに、腐敗防止分野における事例分析を行う。 帰国後は、必要な追加調査を行いつつ、渡航中に行われた研究成果をとりまとめた著作を出版する予定である。
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