研究課題/領域番号 |
17KK0071
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
税所 真也 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (60785955)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 中国 / 成年後見制度 / 社会学 |
研究実績の概要 |
超高齢社会の到来とともに,日本では成年後見制度への関心が高まっている.後見人は,個人の財産管理と契約,意思決定を行う.日本では2000年に現行制度が導入されて以降,第三者の専門職を中心とした成年後見の社会化が進んだ.成年後見の利用が家族に与える影響は大きく,家計管理の社会化をはじめとして,本人と家族の生活に変化をもたらす.これまで親族によって担われることが圧倒的に多かった財産管理と身上監護(ケアをめぐる意思決定を含む)について,日本ではどのような社会化が進んだのか.これが基課題(17K13851)での研究課題であった. 対して,本研究課題では基課題をさらに発展させるため,中国での高齢者の財産管理のあり方について,成年後見をとおした比較研究をおこなう.成年後見制度を必要とするのは中国も同様であり,1987年に施行された民法(中華人民共和国民法通則)を30年ぶりに改正し,2016年から2017年にかけて「中華人民共和国民法総則(草案)」が審議され,採択・公布された.中国では血縁関係/親族関係が優先され,親族後見が多数であり,専門職後見は不足している.ところが,中国では1.45億人に上るともいわれる「一人っ子」が両親の親族後見人となるには負担が大きいことが懸念されており,また農村から都市部への出稼ぎ等で居住地が離れている場合も多く,将来の深刻な状況が予想される.今後,中国の成年後見はどのような方向に向かうのか.本研究では,中国の家族における財産管理者のあり方を,成年後見制度を切り口として比較的に検討する. 今年度は次年度から本格的な国際共同研究を開始するために,受入研究機関との学術交流として以下の研究報告をおこなった. 武川正吾・税所真也,「日本の高齢社会と産学連携のあり方」,華東師範大学経済・管理学部公共管理学院主催国際共同研究学術交流会議,上海,中国,2018年6月22日,招待有.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は次年度から受入研究機関で共同研究をおこなうための研究環境,および共同研究の協力体制を整える作業に注力した.そして当該研究機関と学術交流会議を開催することをとおして,次年度から実際に現地でのフィールドワーク調査を行う準備を整えた.同時に,中国の成年後見制度に関する文献調査により,先行研究を整理し,仮説を構築し,今後の調査設計に関する調整を共同研究者と進めるなど,次年度に向けた事前準備に関しておおむね完了させることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は共同研究者および調査協力者とともに,現地でのフィールドワーク調査を行い,中国の家族における財産管理のあり方を明らかにする研究に取り組む計画である.
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