研究課題/領域番号 |
17KK0076
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
籠谷 公司 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (60723195)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2023
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キーワード | 同盟研究 / 在外米軍 / 一般抑止 / 緊急抑止 / 情報伝達 / 外交的非難 / 国際政治理論 |
研究実績の概要 |
研究活動の成果の一部が International Studies Quarterly 誌と PS: Political Science & Politics 誌に掲載された。日本国際政治学会で1本の報告を行った。 ISQ論文に基づいて、オンライン外交専門雑誌 The Diplomat と『日経ビジネス』で研究成果に基づき、米国ペロシ下院議員の訪台の中台関係に与える影響について論考を執筆し、社会へ研究成果のアウトリーチを行った。ISQ 論文は、台湾による米国製戦闘機の購入という軍拡戦略に対する周辺諸国からの外交的非難が台湾国民の大統領支持や強硬姿勢を求める声を高めることが確認された。また、この効果は、外交的抗議が宿敵国から発せられた場合に限ることが確認された。 PS 論文は、COVID-19感染拡大によって対面実施ができなくなったPacific International Politics Conference の代替策としての Online Speaker Series がもたらした恩恵と問題点を議論し、一年以上の活動の中での試行錯誤から学んだオンラインワークショップを継続させるためのノウハウを説明するためのものである。 日本国際政治学会では、日本の軍拡にする周辺国からの非難が存在するとき、米国が日本の態度を支持した場合と反対した場合に、日本国民の反発がどのように変化するのかを報告した。米国が支持した場合と反対した場合の両方で日本国民の反発を大きくすることが確認された。それゆえ、日本が外交的非難に直面する形で紛争が生じたとしても、米国のスタンスに関係なく米国の介入は紛争を激化することになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在外米軍の一般抑止に関する論文を学会報告してから時間が経過していたが、Book Chpaterの一章として含まれる形で出版する方向で動き出した。
また、この論文の改訂と見直しの過程で、新たな理論的知見を見つけることができたので、現在は理論研究を行っている。
また、米国の同盟国が東アジアで抱える紛争を想定し、世論も含めて紛争の発生や激化についての考察を行い、新たな視点から紛争過程を考える試みも進めている。
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今後の研究の推進方策 |
在外米軍の一般抑止の研究は大きく二つの成果があり、それを国際誌に掲載することが目標となる。軍事予算の決定を通じたシグナリングについては、夏頃に投稿する予定である。また、米国が守るべき同盟国を複数抱えることを想定した抑止問題については、今年度中に理論研究を進展させるように努力する。
米国と米国の同盟国が含まれる紛争過程については、外交的非難という点からも研究を進めるようになってきた。日本の事例だけでなく、韓国や台湾でも検証を重ねる予定である。
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