既存の産業クラスター研究では、産業集積が地域産業の成長に寄与すること示唆する結果を示すものの、その多くが定性的なケーススタディや成功事例の紹介にとどまっていた。また、産業クラスターにおける知識スピルオーバーの具体的な経路や、イノベーションの潜在性を議論するに当たっては、クラスター内部における複雑な事業所間の知識ネットワーク構造を分析する必要があることが指摘されてきた。本研究では、生産活動に要する知識を直接的・具体的に捉えるのでなく、生産活動の結果をもとに間接的・不可知的にその類似性や洗練性を定量的に計測することを提案し、産業クラスターにおける事業所間の知識スピルオーバーの経路や範囲を分析した。
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