研究課題
情報通信技術の進展に伴い,製造・サービス分野の情報化・知能化が進められている。特に,センサーデータを扱うIoTやAIが普及するにつれ,製造・ロジスティクス現場では,原材料,商品,受注,出荷,設備稼働,作業員などのデータを高精度に収集し蓄積できる。これらの大規模なデータには,需要パターン学習,機械予防保全および作業員行動予測など多種多様な知能情報が含まれているため,実用性のある生産・物流日程計画をたてるのに極めて有効である。2021年度においては,シミュレーションと機械学習の融合活用による生産活動の経済性分析に焦点をあて,両手法を併用するアプローチを詳細に検討し提案した。特に,深層学習モデルを構築する段階において,共同研究者であるLouis Luangkesorn 博士の助言を頂いた。提案された両手法の併用アプローチを具体的な研究対象へ適用することで,長期的なオペレーションズマネジメントにおいても,DX(デジタルトランスフォーメーション)の有効的なツールとして,両手法を併用する有効性を確認した。製造・ロジスティクス現場で蓄積してきた多種かつ大規模データを用いて,リスクと不確実性を前もって緩和するのに必要な知能情報を抽出するために,深層学習モデルの活用は鮮度のあるデータへ適応しやすいのである。また,構築された深層学習モデルによって得られた知能情報をシミュレーションモデルのインプットデータやパラメータとして組み込むことにより,長期的生産計画などの意思決定を支援することが可能であることを確認した。今後,提案するアプローチを製造・ロジスティクス現場へ適用範囲をさらに広げ,実験を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題は,新型コロナウイルス感染症による影響で,海外共同研究者との連携に若干の遅れが生じている状況にあるが,共同研究者らの協力を得て,概ね円滑に進められている。
本研究課題で提案する機械学習併用シミュレーションの活用領域は,産業界のデジタルトランスフォーメーションへの意識進展により,ダイナミックかつ複雑な生産システム,ロジスティクスシステム,サービスシステムなどの広範囲にわたって応用可能である。2022年度においては、共同研究者とのさらなる共同研究・情報共有・共同執筆を通して,デジタルトランスフォーメーション時代における先端的な情報技術の融合活用の利点について,産業界の関心を喚起したい。また,国際学会への報告を通して,研究成果を国内外の産業界やサービス業界へ宣伝・普及させるよう努める予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Japan Society of Logistics systems
巻: 18-19 ページ: 3-10
DAAAM International Scientific Book 2021
巻: Chapter 11 ページ: 131-138
10.2507//daaam.scibook.2021.11
巻: Chapter 7 ページ: 85-94
10.2507//daaam.scibook.2021.07