製造・ロジスティクス現場においては,種々のビジネスデータを蓄積しやすくなってきた一方,リアルタイムな意思決定を支援できる生産・物流日程計画の立案が困難な課題である。 本研究課題では,DX(デジタル・トランスフォーメーション)の有効的なツールとして,シミュレーション技法とAIの併用アプローチを生産・ロジスティクスシステムのスケジューリングへの応用を提唱してきた。 本年度では,特に,リアルタイムな調整機能を提供できるスケジューリング法の有効性を検証するために,現場運営上の日程管理課題に対して,ビジネスデータの利活用の観点から,従来のシミュレーション分析のアプローチとAIを用いたエージェント・ベース・シミュレーションのアプローチを比較することにした。 そのため,優先度に基づいたダイナミックな需要データ,処理時間や機械の変動性と連動するデータなどを活用することで,従来のシミュレーションアプローチでは,スケジューリングが困難であった新しいスケジューリング法の構築を提案した。 そして,シミュレーション技法とAIの併用アプローチに必要なビジネスデータを活用するための手順についても提案し,その有効性を検証した。 新しいスケジューリング法は,ビジネスデータの活用において,シミュレーションとAIの重要な利点を活用しながら,それぞれの短所を克服できるように考慮している。 さらに,製造工場のJSS(Job Shop Scheduling)や緊急時の支援物資配送スケジューリングへ適用し,国際学会などにて研究成果を発表することにした。
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