研究実績の概要 |
昨年度は半年間イギリスのケンブリッジ大学・応用数学理論物理学科のGoldstein研究室に滞在し、細胞の走性の数理モデルの開発に取り組んだ。微細藻類の走性のメカニズムを解明した成果は、国際共著論文(Maleprade, et al., Phys. Rev. E, 2020)として発表した。本年度はこの研究をさらに前進させ、Volvoxの協調遊泳メカニズムを生物物理的に解明し、繊毛の効果をせん断応力シェルで表現する新しい細胞遊泳モデルを提案した。その成果は、流体力学の最高峰の雑誌に国際共著論文として発表した(Ishikawa, et al., J. Fluid Mech., 2020a)。 また、受入れ教員のGoldstein教授のみならず、同じ学科のPedley教授やLauga教授との共同研究も推進した。Pedley教授とは、微生物の濃厚懸濁液のレオロジー解析を行った。ストークス動力学法を用いて微生物の多体干渉の解析を行い、懸濁液のshear-thickening特性や、法線応力差を明らかにした。この成果は、流体力学の最高峰の雑誌に国際共著論文として発表した(Ishikawa, et al., J. Fluid Mech., 2020b)。Lauga教授とは微生物の協調遊泳の不安定性を共同研究し、1編の論文が投稿中である。
|