研究実績の概要 |
非局所非線形項であるハートリー型クライン・ゴルドン方程式をド・ジッター時空において考察し、空間の膨張あるいは収縮がある場合の非局所的非線形性の振る舞いについて考察した。また、その非相対論的極限として非線形シュレディンガー方程式を導出し、次元解析に準じた非線形項と解の正則性についての関係式を導いた。更に、初期値問題の小振幅大域可解性を得た。非線形クライン・ゴルドン方程式の内部構造を詳細に調べることを目的としてスピノルを扱うディラック方程式について考察した。非線形構造を明らかにするために、一様等方時空におけるディラック方程式の導出におけるスピン接続係数の偏微分方程式論的取扱いを考察した。7月に、本研究課題に関する非線形波動方程式についての研究集会を大阪大学において開催した。8月に、非線形波動・分散方程式についての国際研究集会を早稲田大学において開催した。また、本研究集会のプロシーディングを日本数学会ASPMとして刊行することとし、原稿執筆依頼や編集などに取り組んだ。2022年9月より2023年1月まで米国スタンフォード大学の Andras Vasy を訪問し、ド・ジッター時空において4次非線形項を持つクライン・ゴルドン方程式の初期値問題の大域可解性について共同研究を行うと共に研究経過を発表した。2023年3月に米国テキサス大学RGVの Karen Yagdjian, Anahit Galstian を訪問し、一様等方時空における非線形クライン・ゴルドン方程式ならびに非線形ディラック方程式の大域可解性について共同研究を行と共に研究経過を発表した。また、Yagdjian と Galstian と共に2023年7月にブラジルにおいて開催される国際研究集会のセッションとして、本研究課題に関する研究集会開催を企画し、講演者選定とプログラム作成などの準備を進めた。
|