研究課題/領域番号 |
17KK0085
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 雄治郎 東京大学, 地震研究所, 准教授 (30392939)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 火山 / 火山噴煙 / 流体実験 / サーマル / プルーム |
研究実績の概要 |
瞬間的爆発噴火における噴煙挙動解明を目的に、基研究である科研費基盤C「瞬間的な火山爆発噴火の災害予測モデル提案」の数値研究と併せ、パリ地球物理研究所IPGPに滞在し室内実験と理論研究を推進した。平成30年10月31日から平成31年3月31日に引き続き令和元年8月1日まで、また令和元年10月1日から10月22日までIPGPに滞在した。 桜島噴火で見られるようなブルカノ式噴火と呼ばれる瞬間的爆発噴火での、噴煙高度スケーリングの解明を目的としている。そのため、昨年度に引き続き塩水で密度成層させた水槽に、ノズルから0.1秒から1秒程度の塩水放出させ噴流を形成させた。噴出側の流体には色素を混入させ、水槽の後方にバックライトを設置してビデオ撮影した。噴流実験の動画解析をした結果、放出時間が短い場合には渦輪が形成されサーマル的に振る舞い、放出時間が長い場合にはプルームに近い形状を持つ様子を再現できた。室内実験での場合では、最高高度に達する時間スケールに対する放出時間の比のバリエーションが小さく、サーマル/プルームのいずれのスケーリングに属するのか判別は難しかった。基研究の数値計算と解析的研究を組み合わせることで、本実験での噴流はサーマルとプルームの遷移状態に近いということが分かった。また、室内実験においてよりサーマル的な振る舞いを再現するためには、放出速度を大きくし、水槽を深くしなければならないという実験的な問題点も明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランスIPGP滞在は平成30年11月から令和元年7月と令和元年10月の計10ヶ月であるが、実験装置の構築に引き続き室内実験の実施と数値計算結果との比較、解析解との比較など、概ね予定通りに研究を推進している。
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今後の研究の推進方策 |
室内実験結果と数値計算結果の比較により、それらを単一のスケーリングで説明できないという想定外の結果を得た。この問題を解決するため、IPGPの共同研究者と理論・解析モデルに基づいた議論を進める。議論をもとに新たな解析モデルを提案し、学会・論文発表の準備を進める。
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