研究課題
爆発的火山噴火では火山灰が大気中に放出され、地表へと広範囲に堆積する。大気中の火山灰は航空路障害に繋がり、地表への降灰は農作物やインフラへの被害へとつながるため、噴煙ダイナミクスと火山灰輸送メカニズムの理解が求められる。瞬間的爆発噴火における噴煙挙動解明を目的に、基研究の科研費基盤C課題「瞬間的な火山噴火の災害予測モデル提案」の数値研究と合わせ、パリ地球物理研究所IPGPの研究者の協力のもと実験研究と理論研究を推進した。令和2年度にフランスへ渡航しIPGP研究者と追加実験と議論を進める予定だったが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により渡航を中止した。そのため、IPGPでの作業を次年度に延期し、これまでに得た室内実験データと数値シミュレーション結果の比較検討を行った。数値シミュレーション結果からは噴出率・噴出速度・火口半径・噴火継続時間によって噴煙高度をスケーリングできることが示唆された。室内実験データはこのスケーリングとは異なる傾向を示した。この違いは、実験において噴出時間を十分に短くできないことが原因のひとつと考えられる。また、数値計算では周囲流体の取り込みによる噴煙の非線形な密度変化があるが、室内実験では、混合比による線形の密度変化であるため、スケーリングに影響する可能性を捉えた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、フランスへの渡航計画を中止した。そのため、IPGPでの室内実験と海外共同研究者との作業を延期した。本年度はデータ解析を中心に研究を進めたが、当初の計画より進捗はやや遅れている。
新型コロナウイルス感染症の渡航での安全性が確保されたら、フランスへ渡航し室内実験の追加とIPGP研究者との議論を進める。一方、本年度に実施した室内実験と数値シミュレーションの結果をあわせた解析を継続する。それにより、新たな解析モデルを提案し、成果発表の準備を進める。
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Geophysical Research Letters
巻: 47 ページ: 2020GL087038-NA
10.1029/2020gl087038