瞬間的な爆発的火山噴火における噴煙ダイナミクスと火山灰輸送メカニズムの理解を目的に、基研究の科研費基盤C課題「瞬間的な火山噴火の災害予測モデル提案」(2017~2021年度)と合わせ、数値研究と実験研究・理論研究を推進してきた。新型コロナウイルス感染症の影響で初年度・2年度から後のフランス渡航を中止した。そのため、予定していた追加実験は取りやめ、これまで得た室内実験データと数値シミュレーション結果を中心に解析を進めた。また、2022年1月にトンガで発生した爆発的火山噴火について数値シミュレーションによる再現研究を行った。 本研究課題では、噴火継続時間が噴煙高度に与える影響を調べてきた。これまでは主に連続噴火の場合の噴火条件と噴煙高度の関係が議論されてきたが、ブルカノ式噴火や水との接触によって発生するマグマ水蒸気噴火または水蒸気噴火では、連続噴火の場合の噴火条件ー噴煙高度とは異なると予想される。2022年1月にフンガトンガーフンガハアパイ火山で発生した噴火は、浅い海で発生したことにより接触した水が急激に膨張して爆発を起こすマグマ水蒸気噴火の特徴を持った。一方で、噴火は数十分継続するといったプリニー式噴火となった。そのため、瞬間的噴火と連続噴火の両方の特徴を持つ稀な現象であった。数値シミュレーションで再現を試みたところ、水の関与により噴出時の温度が下がったものの、噴出条件と噴煙高度の関係は連続噴火のスケーリングで説明できることを明らかにした。 密度成層した水槽に噴出時間を短くしたサーマルを発生させた室内実験、そして大気成層中への噴煙放出を模した数値シミュレーションを行い、サーマルからプルームまで噴煙高度の変化が連続的に変化する様子を捉えた。これまで提案されてきたサーマルとプルームのスケーリングの中間的状態があることがわかった。
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