研究課題/領域番号 |
17KK0090
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松尾 太郎 大阪大学, 理学研究科, 助教 (00548464)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2019
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キーワード | 太陽系外惑星 / 高精度分光測光 / 中間赤外線 / 極低温 / 検出器 |
研究実績の概要 |
基課題である地球型惑星の大気分光のための技術開発を行うために、2018年6月からNASA Ames Research Center (NASA ARC)において研究を開始した。2018年度は、スペース用高感度中間赤外線検出器単体の評価試験と、瞳収縮分光を挿入するための大型極低温容器の整備を行った。前者の評価試験では、James Webb Space Telescope (JWST)のために開発された1k x 1kのSi:As IBC検出器に対して、入力キャパシタンス・暗電流・リードノイズなどの基礎的な検出器のパラメータの導出と、1mKで温度制御された黒体光源を照射させて検出器ゲインの安定性の測定を行った。その結果、基礎的な検出器のパラメータは先行研究(Ennico et al. SPIE, 2003)の結果と一致した。また、安定性の測定については、100 x 100ピクセルのサブアレイにおいて3時間の測定にわたって10ppmの変動に収まることが確認された。また、これらの変動は、サブアレイ間で相関を持っていることが示されたので、この相関を利用して変動を取り除く手法が開発された。本研究は論文として執筆される予定である。他方、後者の大型極低温容器は、2000年以前に製作されたもので、液体ヘリウム容器や液体ヘリウムの注入口の周りでリークが確認された。これらのリークを改修し、使用できる状態までに仕上げた。2018年度は、本課題に関して3編の査読論文が出版されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検出器の基礎的な評価とゲインの長期変動の測定は成功した。また、瞳収縮分光の試験機を大型容器に挿入できる準備が整った。しかしながら、大型極低温容器の改修に遅れが生じており、全体のスケジュールにインパクトを与えている。2019年度中に大型極低温容器に挿入し、実験データが取得される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
大型極低温容器の改修の遅れ以外は、問題がなく、計画の変更は不要であると考えている。当初の計画通り、2019年の10月までに極低温環境下での瞳収縮分光器の安定性のデータを取得する予定である。
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