研究課題
フランス原子炉中性子施設Institut Laue Langevin(ILL)に約1年間滞在し、現地の共同研究者と協力して、高圧力下中性子3次元偏極解析実験用の完全非磁性ハイブリッドアンビルセルの開発を行った。現地においてハイブリッドアンビルセルの加圧実験等を行い、各パーツサイズの最適化を行った。その結果、8万気圧までの加圧に成功した。高圧力下3次元偏極中性子回折実験をマルチフェロイクス物質(DyMnO3,SrMnGe2O6)に対して行い、高圧力下での磁気構造を明らかにした。特に巨大電気分極が高圧力相で誘起されるDyMnO3では、高圧力相ではコリニアでコメンシュレートな磁気構造が実現し、低圧相とはことなるメカニズムで強誘電分極が発現していることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
高圧力下中性子3次元偏極解析実験用の完全非磁性ハイブリッドアンビルセルの開発に関しては、8 GPaまでの加圧が可能となっており、目標をほぼ達成している。それを用いて、マルチフェロイクスDyMnO3の高圧力相の磁気構造が決定できた。
これまでは、高圧セルの開発を主に行ってきておりそれは概ね順調に進行している。今後は、高圧力下のバルク測定が可能な実験セットアップを日本において構築し、これまでの中性子の実験結果や、今後行う予定の中性子実験の結果と相補的に研究していく。具体的には、巨大電気分極が予想されているYMn2O5等に関して、高圧力下中性子回折と高圧力下誘電分極測定を用いて、研究を行なっていく。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Journal of Solid State Chemistry
巻: 283 ページ: 121161~121161
10.1016/j.jssc.2019.121161
Journal of Alloys and Compounds
巻: 811 ページ: 151963-1-8
https://doi.org/10.1016/j.jallcom.2019.151963
ILL Annual Report
巻: 2018 ページ: 36-37
https://www.nims.go.jp/nsg/terada/index.html
https://samurai.nims.go.jp/profiles/terada_noriki?locale=en