研究課題/領域番号 |
17KK0100
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
久保 毅幸 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (30712666)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2023
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キーワード | 超伝導 / 加速器 / 超伝導共振器 / 薄膜 / 表面抵抗 / Q値 |
研究実績の概要 |
ニオブ製超伝導加速空洞の加速電場は限界に達しつつあり、次世代空洞開発が急務である。そこで超伝導積層薄膜構造が注目されている。最適膜厚の存在が理論的に示されて以降、世界中の加速器研究所及び大学が世界初の実証実験に向けて競争を加速させている。本国際共同研究では、積層薄膜構造における表面抵抗のマイクロ波磁場強度依存を理論的に定式化し、実験で得られる表面抵抗のデータと比較する。解析結果を実験と理論両方にフィードバックする事で積層薄膜構造における表面抵抗の理解を大きく前進させ、高加速勾配かつ低損失な積層薄膜構造による次世代空洞の基礎を確立する事が目的である。 表面抵抗測定を海外研究所だけでなく、自身の研究所で実施するための装置立ち上げを開始した。 研究代表者と海外共同研究者は既に、交流電流下の超伝導体の準粒子の分布関数がフェルミ・ディラック分布と見做して良い場合について、超伝導積層薄膜の表面抵抗のマイクロ波強度依存に関する理論を構築済みである。ただし、この理論は、マイクロ波磁場が過熱磁場に匹敵するほど大きな強度の場合には適用できない。そのような磁場領域にも適用できるような理論を構築するための準備として、研究代表者は、積層薄膜が耐えられる最大のマイクロ波磁場強度を超伝導のミクロな理論から評価することにした。不純物が多いバルクの超伝導体の過熱磁場の計算、その上に薄膜が積層されている場合、すなわち、積層薄膜構造の過熱磁場の計算を行った。これによりミクロな理論に基づく積層薄膜構造の最適膜厚が決定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19のパンデミックにより、海外との往来のが停滞し、海外研究所における実験が進んでいない。さらに、海外共同研究者とともに進める予定の実験データと理論の比較も出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19のパンデミック終息後には海外研究所との密なコラボレーションを復活させ、実験データの取得と、その解析を現地で行うことが可能であるが、当面の間は、終息を待つだけでなく、自身の研究所において実験環境を整備し、データを取得し、解析を進める。
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