研究課題/領域番号 |
17KK0101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮村 浩之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00548943)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 不均一系触媒 / 超分子 / 金属ナノ粒子 / 不斉合成 / フロー合成 / クラスター / 遷移状態 |
研究実績の概要 |
本研究において,キラルジエン骨格と二級アミド構造を有する二機能性キラル配位子と架橋型高分子に固定化したロジウムー銀二元金属ナノ粒子からなるキラル金属ナノ粒子を用いる触媒系がβγ―不飽和―αケトエステルへのアリールボロン酸への1,4付加反応にて高い収率,高いエナンチオ選択性をもって進行することを見出した.芳香環を有する基質,脂肪族の基質ともに高い収率,選択性が得られ広い基質一般性を示すことができた.一方,渡航先のUC BerkeleyのProf. F. D. Tosteの共同研究グループは,金属とビスカテコール配位子から,キラリティを有する正四面体型の超分子クラスターを開発しており,本超分子が形成するキラルな内部空間が反応場として機能し,基質が特異な遷移状態を経て反応が進行することをみいだしている.そこで,本共同研究として,研究代表者がこれまで開発した金属ナノ粒子やクラスターの不均一化法と本キラル超分子クラスター触媒の化学を融合させることで,不均一系キラル超分子クラスター触媒を開発することとした.種々の四級アンモニウム塩構造を有する架橋型高分子を合成し,キラル超分子クラスターの固定化を検討し,最適な高分子構造を見出した.開発した不均一系キラル超分子クラスター触媒は,超分子クラスター触媒の内部空間のみで特異な遷移状態を示す,Aza-Prins環化反応において高い活性を示すことを見出した.さらに,本不均一系超分子クラスター触媒をカラムに充填し,基質を流通することで反応を行う連続フロー合成系に適用したところ,24時間以上に渡って,高い活性を維持できることがわかった.本超分子クラスター触媒は空気中の酸素で容易に分解してしまうが,高分子中に固定化し連続フロー系に適用することで,酸素による分解を抑制し高い活性が維持できる利点もしめすことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キラルジエン骨格と二級アミド構造を有する二機能性キラル配位子と架橋型高分子に固定化したロジウムー銀二元金属ナノ粒子からなるキラル金属ナノ粒子を用いる触媒系がβγ―不飽和―αケトエステルへのアリールボロン酸への1,4付加反応においては,幅広い基質一般性をもって,反応が高い収率,高いエナンチオ選択性をもって進行することを見出すことができた.一方,UC BerkeleyのProf. F. D. Tosteらの共同研究グループにて開発されたキラル超分子クラスター触媒の不均一系触媒化にすでに成功し,本触媒が連続フロー系でも有効に機能することを見出した.本超分子クラスター触媒は空気中の酸素で容易に分解してしまうが,高分子中に固定化し連続フロー系に適用することで,酸素による分解を抑制し高い活性が維持できる利点もしめすことができた.
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今後の研究の推進方策 |
キラルジエン骨格と二級アミド構造を有する二機能性キラル配位子と架橋型高分子に固定化したロジウムー銀二元金属ナノ粒子からなるキラル金属ナノ粒子を用いる触媒系がβγ―不飽和―αケトエステルへのアリールボロン酸への1,4付加反応においては,触媒の回収,再使用の検討を行う.さらに,二機能性キラルジエン配位子を高分子中に固定化した,キラル配位子,金属ナノ粒子一体型触媒を用いる検討も行う.一方,今年度開発した不均一系キラル超分子クラスター触媒を用いて,Aza-Prins反応以外の超分子クラスター特異的な反応への適用を検討する.具体的には,超分子クラスターのキラルな内部空間で特異なエナンチオ選択性を示すAza-Cope反応,Nazarov環化反応,Prins環化反応への適用を行う.さらに,本超分子クラスターは内部空間に種々の遷移金属錯体を内包し,特異な触媒活性を示すことが知られていることから,開発した不均一系キラル超分子クラスターにおいても種々の遷移金属錯体の内包化とそれを用いた反応系の開発を行う.さらに,本キラル超分子クラスターがどのように担体である高分子と相互作用し,安定化されているのか,超分子クラスターを不均一系触媒化したときに,内部空間が形成する反応場が,従来の均一系でのクラスターのときと比べどのように変化するか,といった反応機構研究についても実施する.
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