研究課題
本課題では、DNAと正電荷性高分子からなる複合体の高次構造制御とそれを遺伝子ベクターとして医療応用しようとする基研究を、ナノメディシンの臨床応用研究を進めるグループとの協議を通じてステップアップを図る(課題(1))とともに、生物物理学のグループと共同することで高次構造形成の基礎学術を深化させること(課題(2))、さらに新たな核酸治療システムを構築すること(課題(3))を目的としている。課題(1)では、高分子の設計、合成からナノメディシンの作製、動物評価、企業への受け渡しまで行っているドイツ・マインツ大学のRudorf Zentel教授・Matthias Barz教授のもとで、開発現場から企業への橋渡しまでのプロセスを共有した。感染症蔓延のため渡航が途絶えていたが、23年度はオランダ・ライデン大学に移動したMatthias Barz教授の研究室に滞在し、ヨーロッパの最先端事情と今後の課題を議論した。課題(2)は、本国際共同研究の交流により知り合ったインド国立計算科学研究所のグループと核酸-ペプチド複合体の形成プロセスのシミュレーションを進め、DNA/正電荷性高分子複合体をより安定化する高分子に関して、原子レベルにおける会合挙動から示唆を得た。これを元に、核酸を全身投与でがん細胞に送達し、制がん剤の薬効を飛躍的に高める新たな核酸治療の開発に展開している(課題(3))。また、基課題を発展させた系として、がん免疫と協働する新たな遺伝子免疫治療戦略の開発に着手し、強力な制がん効果が得られることを確認した。感染症の影響により渡航を延期せざるを得ず、当初予定した渡航期間に満たなかったが、メールやオンラインでのディスカッションを取り入れながら研究を進めることで本研究課題を完了させることができた。
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