研究課題/領域番号 |
17KK0104
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
新井 亮一 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (50344023)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2023
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キーワード | タンパク質ナノブロック / タンパク質複合体 / 人工タンパク質デザイン / タンパク質工学 / タンパク質結晶化 / ナノマテリアル / 機能性超分子 / 計算科学 |
研究実績の概要 |
以前の科研費基課題では、独自の二量体人工蛋白質WA20を応用した蛋白質ナノブロック戦略の高度化として、温度変化による蛋白質ナノブロックの逐次的自己組織化超分子複合体構造を構築する研究を行った。その成果を基に本課題の国際共同研究では、計算科学を取り入れて研究を発展させ、人工蛋白質複合体を規則的に集積させた結晶性ナノ材料を開発することを目的とした。 そこで、2019年度前期に半年間渡米し、ワシントン大学のBaker研究室で、計算機及び実験設備やサポートが充実した世界最高レベルの研究環境を活かして、人工蛋白質設計による超分子結晶ナノ材料開発に関する国際共同研究を実施した。蛋白質デザインプログラムRosettaを利用して、2次元シート状結晶性ナノ材料を構成する対称性を考慮して、複合体形成αヘリックスドメインを連結した人工蛋白質を設計した。計算結果から、相互作用面の形状やスコア等の条件により絞り込み、人工設計蛋白質配列を選抜した。これらの人工遺伝子を合成し、大腸菌により発現し、精製後、電子顕微鏡観察により、ナノスケールの構造を調べた。いくつかの試料では蛋白質複合体の集合とみられる凝集体が観察されたが、当初設計したような対称性の2次元シート状構造は見られなかった。そこで、これらの結果を踏まえながら、さまざまな人工蛋白質の設計改良等を試みた。 また、当初2020年度、2021年度および2022年度の夏期にも、再度約1~2か月間渡米し、同研究室に滞在して共同研究を実施することを計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による海外出張の自粛等により断念した。そこで、日本国内の研究室で計算及び実験ができるように必要な研究環境の整備を行って研究を進めた。さらに、関連研究として、金属イオンに応答する人工蛋白質ナノ粒子複合体などの研究も進めて論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度も、引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外出張の自粛などの対応により、実際に研究の進捗にも少なからず影響が生じた。また、2020年度、2021年度および2022年度の夏期に当初計画していた海外共同研究先(米国)への渡航は、海外出張の自粛の要請もあり、やむを得ず断念した。しかし、メールやオンラインツール等により、随時、連絡を取ることは可能であり、また人工蛋白質設計用Linuxコンピューターやクロマトグラフィーシステム、遠心機等の導入により、日本国内の研究代表者の研究室での研究環境は以前よりも向上しているので、引き続き研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度、2021年度および2022年度の夏季に当初計画していた海外共同研究先(米国)への再渡航について、2023年度に実施する計画も検討中である。しかし、電子メールやオンラインツール等により、随時共同研究についての打ち合せは可能であり、またLinuxコンピューター等の導入により、日本国内の研究代表者の研究室での研究環境は以前よりも向上しているので、引き続き国内での研究を中心に進めて成果を上げるように進める予定である。
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