2023年度も、粉末金型充填のような固気二相流の数値シミュレーションを実行するための要素技術の開発に資する研究に取り組んだ。粉末金型充填では、移動する壁境界において固体粒子が空気の流れの影響を受けながら流動する。その際、莫大な数の固体粒子を模擬する必要がある。また、充填前後の粉体の混合状態の変化も把握する必要がある。本研究では、固体粒子をDiscrete Element Method(DEM)で模擬し、DEMとComputational Fluid Dynamics(CFD)を連成した固気二相流の数値シミュレーションを使用した。粉末金型充填のシミュレーションを実行するために、DEM-CFD法に、研究代表者のグループで独自開発した計算モデルである、DEM粗視化モデルならびにImmersed Boundary MethodとSigned Distance Functionを結合した壁境界モデルを導入した。昨年度、上記の要素モデルの妥当性確認に資する研究を行ったので、本年度は応用研究に取り組んだ。粉末金型充填では、粒子径分布が充填効率に及ぼす影響を評価した。粒子径分布を有する体系の充填効率は、単分散体系のもとは異なることが見いだされた。流体抗力および圧力勾配による力が粉末の充填に及ぼす影響についても評価した。さらに、コンテナブレンダーの数値シミュレーションも実行し、粒子径が粉体混合メカニズムに及ぼす影響について考察した。コンテナブレンダーにおいて、移流混合が粒子径の影響を受けることや、粒子径に対する移流混合の影響において極小値が存在する現象を見いだした。この現象はモード解析を取り入れることにより初めて見つけられた。
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