研究課題/領域番号 |
17KK0112
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
淺川 雅 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 准教授 (90509605)
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研究期間 (年度) |
2017 – 2020
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 界面分子鎖 / 1分子蛍光顕微鏡 / デフォーカス |
研究実績の概要 |
基課題では申請者が開発した3次元走査型原子間力顕微鏡(3D-AFM)をもとに、固液界面に存在するナノ分子鎖の立体構造・空間分布を1分子スケールで実空間計測できる新しい手法を確立することを目指している。しかし、AFM計測だけではその可視化メカニズムなど定量的な解釈を深めることは困難であり、ほかの単一分子計測や計算科学と連携する必要があった。そこで本研究課題では、単一分子の蛍光分光・イメージングなど分光学や計算機シミュレーションを専門家と国際共同研究ネットワークを形成することで、多角的な計測・計算手法との連携により界面分子鎖の構造・物性と界面現象の分子スケール理解を大幅に進展させことを計画した。昨年度(H30年度、2018年度)までに基板上に固定化するための基点構造に対して、長時間安定で強い発光を示す蛍光分子を架橋する条件(濃度、反応時間、温度など)を検討した。海外渡航後、蛍光分子を1分子蛍光顕微鏡で観察したところ、蛍光分子の凝集構造と思われる強い輝点が観察され、界面分子鎖の1分子スケールの配向・ダイナミクスの評価が困難であった。そこで架橋濃度やリンス条件を詳細に検討し、さらに真空パックで遮光・不活性ガス中で試料を保管し、計測直前に蛍光分子を架橋することで再現性良く観察できるようになった。架橋条件を再検討した試料を1分子蛍光顕微鏡でデフォーカス観察すると、分子配向を示すパターンが明瞭に可視化された。基点構造に架橋したものと物理吸着させたものを比較すると、基点構造に架橋した条件で蛍光分子の配向が揃うことが示された。今後、同じ条件で調製したナノ分子鎖モデルを3D-AFMでも観察することでその可視化メカニズムの解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は蛍光分子の架橋条件を詳細に検討し、これまでに確立してきた条件で蛍光1分子スケール観察を実施した。固液界面に固定化する基点構造へ架橋することでナノ分子鎖モデルとなる蛍光分子の配向性が揃うことを直接的に示すことができた。これらの研究成果、進展を考えるとおおむね順調に進展したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにナノ分子鎖の固定化に用いる基点構造に蛍光分子を固定化することで配向性を制御できることを実証してきた。さらに正確な議論のために配向性の異なる界面分子鎖モデルを追加で調製し、その違いを観察することが重要であるため、そのモデル調製と蛍光顕微鏡計測を実施する。
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