本研究では、広角超音波センサを8個使用し、50mm程度の配管において瞬時ボイド分布を計測可能とした。構築した超音波トモグラフィ計測システムでは、各センサの超音波送受信を高速に切り替えることで、気液界面によって生じる超音波の反射信号を取得する。全センサにおいて計測された反射信号を用いてボイド分布再構成法を構築し、一断面の計測に要する時間分解能として1ミリ秒を達成した。これを500フレーム毎秒で連続CT計測を行うことで、気泡の形状やボイド分布の計測を実現した。 体積等価気泡径が約9mmのガリウム合金中を上昇する連続気泡中において、気泡離脱周期を1~5Hzに変化させところ、3Hz以下の条件では、連続する気泡がほぼ同一の断面を通過したのに対し、周期を短くすることで、計測断面において各気泡の通過位置のバラつきが大きくなることを示した。すなわち、気泡離脱周期を大きくすることで、異なる軌跡において気泡が上昇したと考えられる。更に、円筒容器内のガリウム合金中を上昇する気泡鎖に対して、水平方向に磁場を印加した際の気泡分布評価を行った。体積等価気泡径が約5mmである単一の気泡鎖において、流量を変化させることで気泡の生成頻度を変化させた。磁場を印加していない条件では、計測断面において気泡の通過位置が広く分布した。水平磁場の強度を増加させると、気泡通過位置の分布が狭くなり、スチュワート数が1以上の条件において、気泡鎖の通過位置がほぼ変化せず、一定の場所を通過した。しかしながら、気泡流量を大きくするほど、水平磁場に直交する方向に、気泡分布が僅かに広がることを実験的に示した。すなわち、気泡が流動することで生じる電磁力は、磁場に直交する方向に比べ平行な方向において、より強く働くことを示した。
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