研究課題/領域番号 |
17KK0120
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
山田 剛治 東海大学, 工学部, 講師 (90588831)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | Shock wave / Spectroscopy / Plasma / Nonequilibrium / Shock tube / Expansion tube |
研究実績の概要 |
2019年度の渡航に先立って、2018年度は自由ピストン衝撃波管を用いてアルゴン及び窒素中に生成した衝撃波誘起プラズマの発光分光計測を実施して熱化学特性と輻射輸送特性に関して調査した。そして、これより衝撃層内での電子温度と電子密度の空間分布特性や熱的緩和過程の解明に重要なデータを取得することができた。さらにアルゴン及び窒素のいずれの試験気体を用いた場合についても衝撃波前方からの発光現象を確認することができた。そして衝撃層内の熱的緩和過程を従来の解析モデルで解析すると実験データを再現できないことから、衝撃波前方で生じる発光現象が、衝撃層内の熱化学過程に密接に関連していると考えられる。あるいは、金属製の観測部を高速で伝播する衝撃波を計測対象としているために、このような現象が生じることが考えられる。今後、膨張波管を用いて、同様な条件で実験を実施して、衝撃層内の熱化学現象に違いができるかについて検証を行っていく。 また自由ピストン衝撃波管を小型膨張波管への改良を行った。ミニマムコストで製作するために、既存の自由ピストン衝撃波管に加速管と観測部を追加するだけで小型膨張波管へと改良した。性能特性についてはまだ十分に把握できていないが、予備試験として観測部に、円柱模型を設置し、模型周りに生成される衝撃層からの発光現象の撮像を行った。これより、模型周りの衝撃層内の発光現象を計測するために極短時間計測システムを開発し、撮像タイミングについても確立することができている。このように本年度は、渡航前に十分な予備試験と検討を実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
渡航前に計画していた、小型膨張波管への改良を完了させることができ、事前に予備試験を実施して計測システムを確立することができたため。特に渡航後に使用する試験設備は、研究室所有のものよりも大型になり、また常に使用できる状況にないために計測手法に関して事前に確立できたことが非常に大きな進展であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
渡航後すぐに、中型膨張波管設備に設置するカプセル模型の設計製作を実施して実験の準備を開始する。そして模型製作を待つ間に、実験データの解析を容易にできるように数値解析コードの整備を行う。そして模型完成後に、膨張波管を用いて模型周りの流れ場に関して最初に発光分光計測を行った。衝撃層内の熱的緩和過程について調査する。次に、紫外光源を用いた吸収分光を試して吸収スペクトルを取得して同様に熱的緩和過程について調査する。そして最終的に従来の熱化学モデルを適用した数値解析を実施して比較検討を行う予定である。
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