研究課題
ケイ素(Si)原子1層の層状物質であるシリセンはトポロジカル絶縁体であることが予想されており、次世代の高速・省エネデバイスへの活用が期待される。基課題では、熱酸化プロセスにおける酸化反応自己停止を用いることで、酸化膜で囲まれたシリセン(シリセンインオキサイド:SIO)を作製することを目指している。本研究ではSIO構造の高品質化を目的として、Siウェハ酸化メカニズムの解明と電気特性測定結果をもとにした界面欠陥評価方法の開発を行う。開発した評価方法を用いて得た欠陥の情報をSIO構造作製プロセスにフィードバックし、界面欠陥の少ないSIO作製プロセスの開発を目指すことを目的とする。新型コロナウイルス感染拡大に伴う研究期間の延長を含め、6年間の研究期間において以下の成果を得た。1)SOI基板を加熱しながら光電子分光測定を行えるようにするために必要な加熱システムを開発し、SPring-8のBL23SUに設置された表面化学反応分析装置に取り付けを行った。本システムによりSiウェハ酸化過程の研究が進展した。2)試作したGr/hBN積層構造のバンドオフセットを測定し、グラフェン積層によりh-BNのフェルミ準位がバンドギャップ中央に移動することを明らかにした。3)Siウェハの熱酸化時に生成される点欠陥にSiウェハのキャリアがトラップされることによって点欠陥が化学的に活性となり、SiO2/Si界面での反応が促進されることを明らかにした。本研究によれば、高品質SOI構造作製のためにはキャリア密度の少ないSIO基板の利用が有用であると予測される。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Journal of Surface Analysis
巻: 29 ページ: 82~89
10.1384/jsa.29.82