研究課題/領域番号 |
17KK0127
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
八木 修平 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (30421415)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 希釈窒化物半導体 / 中間バンド型太陽電池 / 分子線エピタキシー / InGaAsN |
研究実績の概要 |
本年度は研究代表者が米国Lawrence Berkeley National Laboratoryへ滞在し、国際共同研究を推進した。狭ギャップ材料として検討しているGaInAs:N δドープ超格子については、発光スペクトルや変調反射分光スペクトルなどの光学特性評価を中心として、混晶組成に対する各バンド間ギャップエネルギーの変化を調べた。セル化した際に十分良好な変換効率を得るためには中間バンドのエネルギー構造を精密に設計することが必須であるが、超格子を利用する本研究においては結晶成長中のIn表面偏析が組成プロファイルを変化させ、その結果エネルギー構造も大きく影響を受けることが考えられる。そのため、超格子内の窒素が成長中のIn表面偏析へ与える影響をX線回折(XRD)法により定量的に評価した。XRDパターンで観測される超格子サテライトピークの強度を詳細に解析した結果、1%の窒素を含有する場合Inの偏析長は窒素を含まない結晶の成長時に比べ30%-40%程度増大することが分かった。タンデム化の際にウェハボンディングの利用を想定した場合、結晶成長基板の面方位の選択に自由度が生じることから、(001)以外の面指数の利用を視野に入れ(111)および(110)基板上に成長したGaAs:Nδドープ超格子の結晶成長についてMBE成長条件の検討と、得られた超格子の物性評価を行った。その結果、0~0.8%程度の窒素組成範囲での超格子成長条件を確立するとともに、窒素組成に応じたエネルギー構造の変化を観測できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度まで主に狭ギャップ材料の探索を中心に進めており、GaInAs:N δドープ超格子について中間バンド材料としての特性が明らかになりつつある。中間バンドギャップの値としては現状で最小0.9-1 eV程度で、目標とする0.5 eV程度の狭ギャップを実現するには成長法のさらなる工夫が必要な状況にある。セルとしての特性評価とワイドギャップ中間バンド材料の探索に関しては、現在基礎的なプロセスの検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はワイドギャップ材料として検討するGaP(As)N系混晶について、中間バンド材料としての特性評価を進めるとともに、試作セルの作製を進める。また、基課題の科研費事業と併せて整備した中間バンド型太陽電池用の分光感度特性評価装置を利用して、セル特性の評価を行っていく。膜厚設計や電極配置などセル構造の最適化はデバイスシミュレータを併用し開発の加速を図る。
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