研究実績の概要 |
狭ギャップセル材料として検討しているGaInAs:N δドープ超格子について、GaAs基板上に作製したセルの特性評価を行った。n形基板上のn-i-p構造とp形基板上のp-i-n構造を作製し、i層にはIn組成約5%, 平均N組成約1.8%とした超格子を挿入した。いずれの構造においても価電子帯-中間バンド(VB-IB)間ギャップエネルギーの1eVに対応した分光感度が観測され、VB-IB間遷移による光電流の量子効率としてはn-i-p構造で10^-4台、p-i-n構造で10^-2台となった。これはi層内の不均一な電界分布に起因するもので、2段階光吸収電流生成に対しての効果を検証することが今後必要となる。 また、窒化添加層の改質に必須となる熱処理に伴って組成プロファイルおよびバンドギャップが変化することを抑制することを目的に、NとInを空間的に分離した超格子構造の効果を検証した。XRDによる詳細な構造解析の結果、成長時のIn表面偏析がInとNの空間分離効果を減少させており、バンドギャップ変化の抑制効果が限定的なものになっていることが分かった。この結果を基に、InとNを効果的に分離するための成長条件について指針を得ることができた。 さらに、ワイドギャップ中間バンド材料としてGaP:Nセルの検討を行った。n-GaP基板にイオン注入でN,Znを導入し、接合部近傍をGaPNとしたpn構造の作製を行った。注入元素は900-1000℃のアニール処理で活性化し、PL測定で2.1eVのVB-IBギャップをもつ吸収層を形成できたことを確認した。
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