研究課題
ゼブラフィッシュの脳における血管網の形成過程を理解するために、共焦点顕微鏡により得られた2次元画像を積み上げることによって、3次元血管構造を構築する方法論を確立した。再構築された血管網は、全ての連結しており、また各血管を分離し、その中心線を抽出することによって、血管同士の連結性の情報を得ることも可能である。得られた構造に対して、1)赤血球のダイナミクスも考慮した散逸動力学計算、2)赤血球の効果はモデル化するものの血管内の流れの3次元性を考慮した非ニュートン流体計算、3)断面内の速度分布をも無視した1次元計算の3つを実施した。この3つの計算手法は、1)から3)に従って、計算負荷は著しく軽減されるが、一方で計算精度は悪化する。本研究では、これら3つの計算を同一の血管網に適用し、定性的にいずれも良い一致を示すことを確認した。一方で、定量的には差異が生じる部分があり、これは赤血球の影響が正確に表現できていないためと思われる。本研究では、これら3つの異なる信頼性を持つ計算手法を融合し、より少ない計算負荷によって信頼性の高い結果を得るための新しい計算手法の提案を行った。
2: おおむね順調に進展している
共焦点顕微鏡の画像から3次元血管構造の再構築、更に、その構造を用いて、3つの異なる手法を用いた血流シミュレーションを実施するためのフレームワークが構築できており、今後、様々な条件のサンプルの血流計算、シミュレーションと実測データの比較などが行える環境が構築できた。以上の理由より、研究プロジェクトが順調に推進できていると考える。
今後は、受精後様々な日数のゼブラフィッシュの個体の血管画像を取得するとともに、シミュレーションと実験のより詳細な比較を実施することにより、本研究で構築したシミュレーション技術の検証を実施する。更に、局所の血行力学因子と血管プルーニングの関係性を明らかにすることによって、血管新生およびプルーニングの数理モデルの構築に向けた基礎研究を展開する予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 8件、 招待講演 1件)
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