研究課題
電子密度や電子温度の測定として,ヘリウム(He)線強度が利用した手法は,様々な直線型装置で有効性の確認が行われてきた。本研究では,直線型装置MAGNUM―PSIにおいて,これまでよりもはるかに高い密度範囲でヘリウム線強度の発光分光を行った。波長388-728 nmで9本のHe線を観測し,衝突輻射モデルとの比較から電子密度と電子温度を評価した。実験と計算の差のばらつきから,電子密度と電子温度の確率分布を評価し,最も確率が高くなるところから計測結果を求めた。特に,分光計測結果とトムソン散乱計測結果との比較をもとに,輻射捕獲の影響を議論した。実験はガス圧依存性や放電電流依存性などを含めた一連のデータを用いた。輻射捕獲を考慮しない場合には,トムソン散乱計測と分光計測は大きく異なり,ほぼ一致を見せなかった。オプティカルエスケープファクタを用いて輻射捕獲を考慮した場合,電子密度はトムソン散乱とほぼ一致しており,高密度領域においても,輻射捕獲は必須であることが分かった。オプティカルエスケープファクタは中性密度,温度に対して感度があるが,中性密度が空間的に均一で,温度が室温であると仮定して,輻射捕獲の影響を検討した。ほぼ,広い温度,密度範囲で,分光法はトムソン散乱計測結果と一致した。一方で,特に温度が1eV以下の場合にはトムソン散乱に比べて高い温度を示すことがあり,その機構としてはプラズマの揺動やそれに伴う高温成分の影響があることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
プラズマの分光計測を実施し,かつ材料照射実験も実施を進めている。かつ光触媒実験も同様に進めている。一方で,3月に滞在予定だった計画がコロナの影響でキャンセルとなったことで,若干の遅れが今後出る可能性がある。
材料照射実験の追加実験を行い,ヘリウム照射効果における高密度での堆積の影響を明らかにする。かつ,薄膜におけるPEC計測を行い,光触媒作用を明らかにする。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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