研究実績の概要 |
2021年はMagnum-PSIにおいて新たな実験は実施できなかったが,これまで行ってきたHeの発光線を用いた電子温度,密度の計測手法の高度化を行った。ヘリウム線強度は,衝突輻射モデル(CRM)と比較することにより,電子密度neと温度Teを測定するために利用されてきたが,Magnum-PSIのトムソン散乱装置で得られたne/Teとヘリウム線強度の関係を重回帰分析により学習しモデル化し,学習したモデルに基づいて,線強度からneとTeを予測することを可能とした。つまり,機械学習を使ってプラズマからのHeの発光を用いて温度と密度の計測法の模索を行った。重回帰分析に基づき,計測に用いる線強度のペアの適切な選択を議論し,9本の線強度に比べて,数を減らした方が精度を向上できることを示した。プラズマ中心(コア領域)のデータを重回帰分析した結果得られた係数に基づき,neとTeを十分に予測するためには少なくとも を予測するためには、少なくとも次の5本の線が必要であることがわかった。少なくとも、728.1, 706.5, 501.6, 388.9, 402.6nmの5本の線が必要であることがわかった。このライン選択により、電離成分と再結合成分の混在に起因する誤差を低減することができる。この方法により,電子温度と密度の径方向プロファイルが得られることを明らかにした。この方法の大きな利点は,CRMを用いた標準的な手法に対して,原子の励起分布の物理過程を考慮しなくてよいことである。輻射捕獲やヘリウム原子の準安定状態原子の輸送などの様々な物理過程を考慮せず,計測を可能とする点で有益な手法となる。
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