強すぎる光は光合成器官に傷害をもたらし、光阻害と呼ばれる光合成や成長の低下を引き起こす。これまでに多様な光阻害回避機構が報告されている。多くの光阻害回避機構が進化したことは、光阻害耐性に強い淘汰圧がかかることを示唆するが、光阻害が種の分化・分布にどのように影響してきたかという知見は乏しい。本研究では、光阻害回避機構のうち、近年急速に研究が進む、光化学系I循環的電子伝達およびステート遷移能力の温度依存性のエコタイプ間比較を行った。両者の温度依存性にエコタイプ間差が生じており、光化学系I循環的電子伝達のエコタイプ間差には、光化学系IIよりも光化学系Iの温度依存性が強く影響することが示唆された。
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