本年度は、超解像顕微鏡3D-STEDによる超解像陰影法 SUSHI(super-resolution shadow imaging)を細胞内可視化に応用し、ライブイメージングで神経細胞の細胞内構造を網羅的に可視化することを試みた。本年度は撮影条件検討のため、YFP蛍光蛋白質をCOS細胞に発現させて3D-STEDによるライブイメージングを行った。当初、ライブ撮影を続けると光毒性によって次第にミトコンドリアの形態が変形することが分かった。STED光のレーザー出力を調節することで細胞に影響の小さい撮影条件を決定することができた。ライブイメージングの結果、ミトコンドリアだけでなく、滑面小胞体の網目構造の変化や小胞体に沿って移動する小胞(リソソームまたはエンドソームと思われる)の動きを鮮明に捉えることができた。しかしながら、時折太い微小管らしき影が見えることもあったが、安定して細胞骨格の動きを可視化することはできなかった。 3月に一時帰国後、フランスでのCOVID-19感染拡大によって再渡仏を見合わせたため、神経細胞での3D-STED観察を行うことができなかった。次年度は、この撮影条件で1)培養神経細胞の細胞内構造を行い、2)より多くの細胞内構造が可視化できる条件を見出すことを試み、脳組織での細胞形態、細胞内構造の同時撮影を目指したい。
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